赤い暴風
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帝国暦488年/宇宙暦797年4月16日、惑星ドイナカンの掌握を完了したカール・ハンソン率いる軍事革命委員会は、バカーダ・フォン・ムノー男爵及びアーホー・フォン・ムノー騎士団長を筆頭としたドイナカンの支配者たち12名を裁くための人民裁判を開廷した。
裁判は銀河帝国共産党が人民の支持獲得のための政治ショーと化しており、被告人たちの反論は、聴衆の怒号で掻き消された。判決は満場一致の有罪であり、被告人12名全員の死刑が下された。刑は即日執行され、男爵たちは大勢の観衆が見ている中、銃殺された。
「人民の敵は打倒された!革命万歳!」
「「「革命万歳!革命万歳!革命万歳!」」」
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公開処刑が終わった後、遺体は速やかに火葬され集団墓地に埋葬された。
「よろしかったのですか?党内には遺体を数日間晒すべきだとの声もありましたが……」
「奴等はその死を持って己が罪を償ったのだ。余計な屈辱を与えるといらぬ反感を生みかねん。我々は共産党は無秩序な暴徒の如き行動は戒めなくてはならんのだ。それよりも軍の再編はどうなっている?」
「既に同志ヂュー・ドゥーが帝国軍や旧騎士団出身者を中心とした部隊の編制に取り掛かっています。更に志願兵も募るとのことです。」
「何としても短期間の内にシベリア星系を解放して、辺境統一の足掛かりを築かなくてはならん。帝国が崩壊し、辺境が空白地帯となった今が好機なのだ。この機会を逃さず一気に行くぞ。」
「かしこまりました。」
ハンソンとマオ・ツォートンは会話を終えると自らの業務に戻っていった。
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4月28日、軍事革命委員会はドイナカンに駐屯していた旧帝国軍と騎士団の解体を決定。それと同時に新たなる革命の為の軍隊『労働者・農民赤軍(労農赤軍)』の創設を布告した。労農赤軍は中核こそ旧帝国軍兵士と騎士団団員によって編成されていたが、大部分は労働者や農民から志願民兵であった。
ハンソンはこれら寄せ集めの軍隊である赤軍を組織化すべく、旧時代のわかりやすい軍規を参考に行動規範を制定。
三大規律:
@指揮に従って行動せよ
A人民の物は麦1本でも盗るな
B獲得した物も金も公のものにする
八項注意:
@話し方は丁寧に
A売買はごまかしなく
B借りたものは返せ
C壊したものは弁償しろ
D人を罵るな
E人民の家屋や田畑を荒らすな
F婦女子をからかうな
G捕虜を虐待するな
以上の『三大規律八項注意』を赤軍の軍規として定め、これに違反した者は階級問わず死刑に処すとした。また民衆に対しても、これを行動規範として順守を求め、実際に違反した軍人に対して容赦なく銃殺刑に処したことで、民衆にも概ね受け入れられ治安の回復に繋がっていったのである。
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