第一章
なかなか雪ノ下 雪乃に話を聞いてもらえない俺は中身が歪んでいる。
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―嫌な予感しかねぇ。
俺達は未だに奉仕活動の内容を聞かされていない。
だが『奉仕』なんて言葉は日常生活ではまず出てこない。この言葉を使用するのは限られた状況でのみ許されるものだ。
例えば『可愛いメイドさんがご主人様にご奉仕♪』とか。
そんな状況ならウェルカムだし、レッツパーリーだ。
...しかしそれは全て嘘だ。
現実には何も起こらない。つまらない日常がただひたすらに長く続くだけだ。
まぁ、とにかく俺が言いたいことは『奉仕活動』なんてのはろくなものじゃないだろうということだ。
このように奉仕活動の内容を想像し、嫌気がさしていると比企谷が口を開いた。
「俺、腰に持病がありましてね...あの、ヘル、ヘル、ヘルペス?あれなんですよ...」
嘘をつくのならもう少し考えてからつこうか。
まぁ、これから力仕事でもさせられると踏んで予防線を張っておこうとしたんだろうが腰に持病があるといったらヘルペスじゃなくてヘルニアだ。
ヘルペスは、あれだよ...口とかにできるヤツだろ。...違う?
「ヘルニアと言いたいんだろうが、その心配は無用だ。君達に頼むのは力仕事ではない」
力仕事ではない?...となると調べ物とかのデスクワークか。
それはそれで力仕事よりもつらい場合もあるが俺はそういった物は苦手ではない。
しかしそれを拷問に近いものだと思う人間がいた。
「俺、教室に入ると死んでしまう病が」
「どこのながっぱな狙撃手だ。麦○ら海賊団か」
...平塚先生。あんた少年漫画読んでんのかよ。
つーかスムーズにツッコミすぎだ! どんだけ好きなんだよ○NE PIECE。
「着いたぞ」
...何の変哲もない教室だ。ってかプレートにもなんも書いとらん。俺...そして比企谷も不思議に思って、何も書いていないプレートを眺めていると先生がからりと戸を開けた。
その教室の端には机と椅子が無造作に積まれていた。 ...倉庫か何かだろうか?
しかし、それ以外特に変わったものは無し。まったくもって普通の教室だ。当然だが。
だが、そのいたって普通な教室がなぜか異質な空間じみていたのは一人の少女がそこにいたからだろう。
その少女は本を読んでいた。
俺にはこの教室が周りの世界から切り離されてしまった小さな空間のように感じられた。
きっと世界が壊れ朽ち果てても、この教室の中にだけは今と変わらず斜陽が射し込み続ける。...確かにそう思ってしまうほどこの景色は神秘的なものだったと思う。
不思議な気持ち。
その少女を見た瞬間俺の身体は役目を忘れて動かなくなり、少し...、ほんの少しの間だったが俺のなかで時が止まった。...などと感じたのかもしれない。もっとも、それは中学一年の時まで
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