第一章
なかなか雪ノ下 雪乃に話を聞いてもらえない俺は中身が歪んでいる。
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悪かった」
いや、比企谷の顔はともかく俺達はなにも悪くない。
比企谷が瞳を潤ませながら懇願すると雪ノ下はようやくその邪悪な舌刀を納める。
もはや何を言っても無理だ。コイツは倒せない。比企谷なんてもはや悟りの境地に達してしまっている。...何でっ?
俺が比企谷の様子を見て驚いていると雪ノ下は会話を続行する。
「さて、これで人との会話シュミレーションは完了ね。私のような女の子と会話ができたら、たいていの人間とは会話できるはずよ」
えっ、俺達会話できてた? しかも、それ以前にこれ会話じゃねぇだろ! 一方的な悪口の間違いでしょ?
「これからはこの素敵な思い出を胸に一人でも強く生きていけるわね」
「解決法が斜め上過ぎるだろ」
「比企谷、これ何も解決してないよね? 最初、居た堪れない立場の俺達に居場所を作ってやるとか言われた気がするんだけど、これじゃあただ心に傷を負っただけじゃないか」
「確かにそれじゃあ先生の依頼を解決できてない...。もっと根本的なところをどうにかしないと...。例えばあなた達が学校をやめるとか」
「それは解決じゃない。臭いものに蓋理論だ」
「おいおい、俺の話聞いてた? 俺たちを学校から追い出すとか本格的に俺達の立場がなくなるだろ! だったらぼっちのままでいいよ!」
流石に学校から追放されたくはない。あと、俺まで臭いもの扱いされてるって何なの?
追い出される前にこの学校から逃げ出したくなるよ!
「あら臭いものだって自覚はあるのね」
いや、俺は自分が臭いものだって思ってない。比企谷が勝手に言っただけだ。
「ああ、鼻つまみものだけにな、ってやかましいわ!」
「...うざ」
「ごめん比企谷。これだけは雪ノ下の言う通りかもしれない」
うまいこと言ったと思ってにやっと笑う比企谷は面識がある俺も多少イラッときた。
「き、桐山まで...?」
俺は比企谷を冷めた目で見据える。ちなみに雪ノ下は「なんで生きてるの?」という目で比企谷を睨み付けていた。俺にはあんな目はできない。すっごい怖い。
...それからは逃げ出したくなるような静けさだった。実際、雪ノ下の悪口で傷ついた俺の心が痛んで家でゆっくり休みたかったのもあるだろう。
その静寂を打ち破るようにドアを引く無遠慮な音が教室に響いた。
「雪ノ下。邪魔するぞ」
「ノックを...」
「悪い悪い。まぁ気にせず続けてくれ。様子を見に寄っただけなのでな」
溜め息交じりの雪ノ下に微笑みかけると、平塚先生は教室の壁に寄り掛かった。そして俺と比企谷それから雪ノ下の三人を眺めるように見る。
「仲がよさそうで結構なことだ」
どこをどう見てどう解釈すればそんな的外れな結論になるんだ...。さっきまで物凄い暴言吐かれてたんですけど。
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