第一章
なかなか雪ノ下 雪乃に話を聞いてもらえない俺は中身が歪んでいる。
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ですけど」
...なんて怖い女なんだ。
「私だって本当はそうしたいんだ。だが最近は小うるさくてな。肉体への暴力は許されていないんだ」
おい教師っ!それでいいのか? 出来たとしても暴力はダメだろ!
しかも職員室で年齢の話題にふれたとき『次は当てるぞ』って言ってたよね!...駄目だろっ!
それと精神への暴力なら許されてるみたいに言うな。
「お断りします。そこの男の下心に満ちた下卑た目を見ていると身の危険を感じます」
間違いなく比企谷のことだ...。
俺はどんなに相手が美少女でも気を取られることはない。興味が無いから。比企谷の奴は雪ノ下の慎ましい胸元や、きめ細かい綺麗な肌なんかに気を取られてしまったのだろう。
え、俺も結構見てるじゃないかだって?...しかたないだろ。興味がある、ない以前に目の前にあるんだから。嫌じゃなくても視界に入ってしまう。
「安心したまえ、雪ノ下。その比企谷という男は目と根性が腐っているだけあってリスクリターンの計算と自己保身に関してだけはなかなかのものだ。隣の桐山もあらゆることに興味を示さない無害な奴だ。刑事罰に問われるような真似だけは決してしない。彼等の小悪党ぶりは信用していい」
彼等ってことは俺も小悪党扱いか?
「何一つ褒められてねぇ...。リスクリターンの計算とか自己保身とかじゃなくて、ただ常識的な判断ができるって言ってほしいんですが」
「先生。比企谷のことは確かに否定できないですけど、俺が小悪党というのは違くないですか?」
「おい、桐山。お前は俺の敵なのか?」
「小悪党...。なるほど」
「聞いてない上に納得しちゃったしよ」
「待て、雪ノ下さん。俺は小悪党じゃない」
比企谷と共に小悪党呼ばわりされるなんて気にくわない。
「まぁ、先生からの依頼であれば無碍にはできませんし...。承りました」
えっ、俺の「待て」はスルーなの?俺ここにいるよね?なに完全に納得してんの。俺、小悪党?
てか、すっげぇ嫌そうな顔だな。こっちだって入部なんかしたくねぇよ。
先生は雪ノ下の返事を聞くと満足げに微笑み、
「そうか。なら、後のことは頼む」
とだけ言い、そのままさっさと帰ってしまった。
...取り残される俺と比企谷。
何これどういう状況? 正直独りぼっちの方がずっと楽だよ。
カチ、カチ、カチと時計の秒針がやけにゆっくり、やたら大きく聞こえる。
おいおい男が一人余計にいるとしてもこの緊張感ははっきり言ってきついぜ。比企谷が何かしゃべってくれねぇかな。隣で立ち尽くしている比企谷の方に目を向けると、彼は何かを思い出すように目を閉じていた。
...たぶん今のような女子と教室で二人きり(まぁ、俺もいるのだが)のシチュエーションに
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