第一章
なかなか雪ノ下 雪乃に話を聞いてもらえない俺は中身が歪んでいる。
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流れると、雪ノ下はぱたっと本を閉じ、帰り支度を始めた。どうやらこれは完全下校時刻を知らせるチャイムのようだ。
雪ノ下は支度を終えると俺たちの方をちらりと見る。
が、見ただけで「お疲れ様」も「お先に」も言わず颯爽と帰って行きやがった。
あまりの対応の冷たさに声をかけるタイミングがなかった...。
「ゴクッ...」
―斜陽の射し込む教室には比企谷と二人きり...。
オレンジ色の光が溢れ出す教室...。胸が締め付けられるような言い表せない感情...。しかし、不思議なことに、まるで自分の感覚が、優しく狂ったように、それを心地好いと感じてしまう...。
ドキドキと心臓の音が大きくなっていって、夕日に染まった二人の影が―また気持ち悪いいいっ。アンド死ねっ!
悪ふざけが過ぎた。もう帰ろうっ、うえっ。
「じゃ、お疲れ。うっ」
比企谷にそう言って俺は教室を後にした。
× × ×
『つまんねぇ』
俺は独りで昔、口癖のようにいっていた言葉を呟いた。
昔というのは中学生のときのこと。そしてこの言葉は俺に友達がいなくなった原因の一つだ。
どんなときでも、なにをしててもこの言葉を呟いていた。
みんなでわいわい話をしてるところで、そう呟いていたら、そりゃあ友達だっていなくなるだろう。まぁ、いなくなってもなんとも思わなかったけど...。
それにしても今日はめんどくさかった。職員室に呼び出されるわ、奉仕活動をしろと命令されるわ、初対面の雪ノ下 雪乃に暴言吐かれるわ、平塚先生に腕捻られるわ、あげく顔を見ると気分が悪くなるとまで言われて、もう心が折られそうだ。なーんて、嘘嘘。全部嘘。
その上勝負だのとバカなことをさせられることになるとは...。
現実って、特別なものは無いくせに面倒なものはあるんだよなぁ...。
比企谷のいうとおり、青春は擬態で欺瞞で虚偽妄言。 確かにそうだろう。
...でも、そんなことどうだっていいのかもしれない。
努力したってなにも変わらなかった、自分の人生を左右出来るほどの才能もなかった。でも勉強はわりと出来るし、何も考えなくて良いのだろう。
目標なんてなくても適当な職業に就いて、何事も適当に...。そうやってだらだら生きていれば、どうせすぐに人生終わるんだし。
...そう、やはり俺の青春は終わっている。
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