NO.001 転生
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呼吸をしながらも、
「もしも、もしもだよ……? 私達が無事にヒーロー稼業を全うしてヒーローを引退したらもう個性なんて無用とは言わないけど使う機会なんて減っちゃうでしょ? おじいちゃんおばあちゃんで個性なんて使ったら体に響くのは請け合いだし…」
「そうだな」
「確かに……」
「でも、その時にデクちゃんがまだ生命力を使いきれずに今の姿のままだったら……みんな、どう思う?」
みんなにそう問いかけるお茶子。
それで全員は想像したのか苦い顔になった。
それはそうだ。
もうみんなおじいちゃんおばあちゃんの中、出久が一人だけまだ20代にもなっていない姿で取り残されているのだから。
「それは……嫌だな」
「うんうん。それは嫌だ。考えたくもない」
一人、また一人と嫌だ、と答える。
それを聞いてお茶子は考えていた案を言おうとする。
「だからさ……もしデクちゃんが一人取り残されてしまうんなら、私達の事を忘れないように、覚えていてほしいという想いをこめてせめて個性だけでもデクちゃんにあげようと思う……んやけど、どうかな?」
「いいと思うよ……でもさ、どうやって個性を譲渡するのか、それが問題だよ? そこはどうすんの、麗日?」
「うん。そこはデクちゃんの『与える』個性が日の目を浴びてくるんよね」
それを聞いていた出久が、
「与えるが、なの?」
「うん、そう……。ある意味裏技に近い行為なんだけど、私達にデクちゃんが『与える』個性を“与える”」
「ッ! まさか!」
「そう。一時的に『与える』個性を使えるようになったらすぐに自分の個性を『与える』と一緒にデクちゃんに丸ごと譲渡する。こうすれば受け渡しはできるでしょ? 与えるもデクちゃんに帰ってくるし一石二鳥だよ!」
私、必死に考えたんだよ!と言わんばかりに腰に手を当てて満足げな顔をするお茶子。
しかし、それで全員は妙案だと悟る。
「ケロ。お茶子ちゃん……とてもいい案だと思うわ。それならしてやれないことはないと思うわ。みんなもそれでいいかしら? これはもしもの案だけど、出久ちゃんにとってはあり得ない話でもないのだから……」
『さんせい!』
クラスの一同が満場一致で納得したのでこうして最悪を想定して今後を生きていく事になった。
そして出久はそんなみんなの思いやりに涙を流しながら「みんな、ありがとう……」と言ったのだった。
その話は出久と親しい洸汰や壊理ちゃんにも行き渡り、母・引子や父・久にも了承される内容だった。
…………そして、出久は全員の死に目が近い時に顔を出して個性を譲ってもらい、個性は思い出の形の結晶となった。
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