最終章:無限の可能性
第259話「蘇りし英雄達」
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た。
「あやつも別に責めないと言っていたじゃろうに」
「っ………」
「……いや、自分で自分が許せぬのか」
皆は戦うと言って立ち上がった。
だが、自分はそれが出来ずに残った。
そう言った自分の弱さ、不甲斐なさを許せなかったのだ。
だから、誰もが気まずそうに俯いていた。
「自身の弱さが憎いか?じゃが、それで結局動けなければ意味があるまい」
女性は敢えて励ましの言葉を掛けない。
同情した所で、彼らには何の慰めにもならないと分かっていたからだ。
だからこそ、“別の道”を示す。
「戦えぬのならば、戦う者を信じよ。信じて、勝利を想え」
幽世でなくとも、世界のどこかで怯えているだけの者がいる。
それでも、戦っている誰かを信じているのだ。
“信じる”だけなら、どれだけ弱くとも出来るのだと、女性は言う。
「今、あらゆる生命の“祈り”が力となっている。……お主らが信じれば、戦いに行った者達も強くなるのじゃ」
「……」
「自分が力になれないのならば、誰かの力となれ。出来るじゃろう?」
“出来ない”と思う者はいなかった。
誰かのために祈るぐらいなら、さすがの彼らにも出来るからだ。
「よろしい。では、儂も行こうかの」
彼らの祈りにより、自身に力が漲ったのを女性も感じ取った。
そのまま、彼女は現世への門を潜る。
「せっかく戻って来たのじゃ。あやつとも、会っておかねばな」
そう言って、とこよの恩師“吉備泉”が現世に舞い戻った。
神の権能が振るわれる。
天気は荒れ、あらゆる天変地異が神界の神へ牙を剥く。
本来であれば、確実に無差別な災害だ。
だが、それらは決して地球の者へ被害を与えない。
「はぁああっ!!」
そんな嵐の中を、いくつもの人影が駆け抜ける。
そして、権能に梃子摺っている神や“天使”へと肉薄し、攻撃を仕掛けていた。
それらの人影は、皆伝説や神話に伝えられる英雄達だ。
否、それだけでなく、神話の神すらもそこにいた。
「シッ……!」
その中に、とこよもいた。
刀を手に、神々の起こす天変地異すら味方につけて敵と渡り合っている。
既に二度も神界の神と長時間戦闘をしたのだ。
もう理力の対処にも慣れており、一対一であれば負ける要素はなかった。
「……さぁ、文字通り八百万の神が相手だ。……勝てるものなら、勝ってみな!」
規模の大きすぎる、最早戦闘とも言えない様子を目の前に、紫陽は不敵に笑う。
今まさに、日本には八百万の神が顕現していた。
神話等の英雄もいるが、やはり日本なだけあり、神の方が数が多い。
それだけの神達
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