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巨人兵
第三章

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「そうではないか」
「そうでしょうか」
「我が国でも民を連れて行っていますし」
「もう無茶苦茶です」
「背が高い者を片っ端から連れて行く」
「そして自国の兵にするなぞ」
「いやいや、攫われる方が悪いではないか」
 皇帝はこうも言った、見れば彼自身二メートルの大男で筋骨隆々としている。髭をお洒落に整えているが顔立ちが随分ざっくばらんな感じだ。
「朕もそうしたい」
「まさかと思いますが」
「他国の民を攫ってですか」
「そしてですか」
「いや、それはしない」
 皇帝はプロイセン王の様にすることは否定した。
「我がロシアは充分以上に多くの民がいる」
「だからですか」
「それ故にですか」
「それはされませんか」
「陛下にしても」
「そうだ、それでプロイセン王だが」
 その王の話をまたした。
「面白いと言ったな」
「はい、確かに」
「それはです」
「言われました」
「実際に」
「その意気に感じ入った」 
 だからだというのだ。
「それでだ」
「それで、ですか」
「どうされるのですか」
「この度は」
「ロシアの大きな男を選んでだ」
 そしてというのだ。
「プロイセン王に差し上げよう」
「そうされるのですか」
「プロイセンの兵にしてもらいますか」
「あえて多くの兵を送り」
「そうしますか」
「すぐに大男を探すのだ」
 そうしてというのだ。
「それでプロイセンに送るぞ」
「そうされますか」
「そして、ですか」
「恩も売りますか」
「そうする」
 こう言って実際にだった。
 ロシア皇帝はプロイセンに自国の多くの大男を送った、プロイセン王は彼等を見て大いに喜び早速彼等を兵隊にした。
 プロイセン軍は大男を中心に人を集め忽ちにうちに欧州屈指の軍事大国になった、欧州では戦乱が止まらないが。
 プロイセンはどの戦争にも出来るだけ加わろうとしなかった、軍事大国となったが徹底的にだった。
 戦争には関わらなかった、それで廷臣達は自ら杖を手に国内を視察し訓練を指導する王に対して問うた。
「我等は軍事大国です」
「遂にそうなりました」
「まだまだオーストリアやフランス程ではないですが」
「結構な軍隊を持つ様になりました」
「そうなりましたが」
「戦争はされないのですか」
 こう王に問うた。
「そうはされないのですか」
「折角軍事大国になったというのに」
「この欧州では常に戦争が起こっていますが」
「それでもですか」
「戦争はされないのですか」
「する必要があるのか」
 そもそもとだ、王はその廷臣達に問うた。
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