第七十話 天空人
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エルヘブンから南下する事しばらくが経ち、岩が高く積み上げられた洞窟に私達はたどり着いた。
「まさかここまで岩が積み上がっていたとはね……」
この岩の山を崩して、洞窟を開通させるのは骨が折れそうだ。
「ゴムレス、できる?」
ここに向かう道中で仲間になったゴーレム、ゴムレスにタバサが聞いたけれどゴムレスは首を横に振った。
「となるとあの杖の出番というわけか」
「塔でおじいさんからもらった杖だよね」
かつて天空の勇者とその一行は岩が立ち塞がった際にマグマの杖で岩を吹き飛ばしたという。
「わかりました、私やってみます」
タバサがマグマの杖を高く突き上げる。
すると杖の先端の光球が赤く強く輝きだして、とてつもない熱を持った魔力が勢いよく迸った。
「これ程の魔力ならきっと岩を吹き飛ばせる…………!」
「でも先生! これだけの魔力私1人じゃ制御しきれません!」
タバサの言う通り、杖に長年貯めこまれていた魔力は膨大でタバサ1人じゃ制御しきれない。きっと完全に解放されてしまったら私達も巻き添えを食らう。
「タバサ、もう少ししたら杖を思いっきり岩の方に投げてそれで一旦ルーラでマグマを回避して!」
「わかりました!」
吐き気を催す程周囲は熱気に包まれて、杖からは轟音が響いてくる。
もはや目を開けているのが困難なぐらい杖は輝きを放っていた。
「今よ、タバサ!」
私の合図と同時にタバサは杖を思いっきり岩の方に投げた。
光の棒のようになったマグマの杖は熱気と轟音を発しながら岩へと落ちていく。
「ルーラ!」
杖が落ちる寸前にタバサのルーラが完成。
私達は一気に空中へと舞い上がる。
空から見下ろすと、杖から解き放たれたマグマが岩をいとも簡単に溶かし、崩し、吹き飛ばすのが目に入った。
もしルーラで回避しなかったらあのマグマの巻き添えになって死んでいたと思うと鳥肌が立った。
「私あの杖握っているのすごく怖かったです……」
地上に着地するなり、タバサはそう言った。
「怖かったわね、でももう大丈夫よ」
地面に転がっているマグマの杖は多少の魔力は残っているから魔法の武器としては普通に使えるけれど、あれだけの現象はもう起こせない。
「マグマすごかったぁー!もう一回見たい!」
怖がっていたタバサとは反対にレックスは楽しそうにはしゃいでいた。
「お兄ちゃんったら! 私本当に怖かったんだからね!」
そんな兄妹のやり取りを微笑ましく眺めつつ、私達は開いた洞窟へと入る。
「うわぁ、すごい……」
洞窟に入るなり、レックスが声を漏らしたけどそうなるのも当然だ。
だってこの洞窟には辺り一面に線路が敷かれていて、その上をトロッコが走っていたんだから。
元の世界でこんな感じのアトラクションに乗った事がある
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