暁 〜小説投稿サイト〜
レーヴァティン
第百六十九話 異形の武家その一

[8]前話 [2]次話
               第百六十九話  異形の武家
 英雄は中山道を進む自分達が率いる兵を集めた、その数はもう十四万に達し城に入りきれないまでだった。
 その大軍を松山城の天守閣から見つつ周りの諸将に告げた。
「甲斐との境に一万、信濃の南全体に一万を置いてだ」
「そしてですね」
「その残り十二万で、ですね」
「信濃の北ですね」
「そこに兵を送りますね」
「そうする、信濃の北はだ」
 これから攻め入るその地の話もした。
「全ての国人の兵を集めても一万もない」
「そこで十二万の兵を見せる」
「それだけの兵が動くことを」
「このことをですね」
「旗は多く掲げ」
 そしてというのだ。
「声は大きく出せ、そうすればだ」
「実際より多く見えますね」
「十二万より」
「それを敵が見てですね」
「十二万どころではないのかとだ」
 自分達の方に来る敵はというのだ。
「思い尚更だ」
「降る国人が多くなる」
「そうなりますね」
「これより」
「そうだ、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「これまで通りだ」
「戦わせる前に降らせる」
「そうしていきますね」
「信濃の北でも」
「そうする、では大いに見せる」
 自分達の大軍をというのだ。
「実際より多いのではないかと思えさせるまでな」
「では」
「その様にしつつ」
「信濃の北に向かい」
「入りますね」
「そうする」
 こう言って実際にだった。
 英雄は彼等を率いて進軍した、すると。
 彼の読み通り信濃の北の国人達も次々に降ってきた、その中には。
「葛尾もか」
「はい、あの地の国人もです」
「自ら幕府に入ることを言ってきました」
「こちらが使者を送るより先に」
「そうしてきました」
「そしてです」
 さらにだというのだ。
「さらにです」
「上田もです」
「あの地もです」
「国人が降りました」
「家ごとそうしてきました」
「降りました」
「いいことだ、では降った者達を通せ」
 自分達の前にというのだ。
「そしてだ」
「上様ご自身がですね」
「任じられますね」
「そうされますね」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「その資質に合わせてな」
「用いられますね」
「その様にされますね」
「さらに」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「幕府の柱になってもらう」
「左様ですね」
「では進軍を続けつつ」
「陣中で合われますね」
「その様にされますね」
「そうする、そして岐阜や名古屋に城を築くのは後だが」
 東海に甲信を手中に収めて落ち着いてからだというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ