二つの赤
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。さあ、絶望してファントムを生み出せ!」
「た、助けて……! 大家さん……! ゆあちゃん……!」
「キキキ……」
にじり寄るファントム。
これで、目的が果たされる。と思ったその時。
全身に、鋭い痛みが走った。
「なっ……?」
ファントムは驚く。
ポロポロと落ちた、金属片。やがて、再び弾ける音が聞こえた。
銃弾。
何とか見切れたものの、その軌道は普通のそれとは違う。捻り、放物線を描き、まるで生き物のようにファントムの体に突き刺さる。
「なんだと……?」
転がったファントムは、そのままターゲットの人間から離れてしまう。
その時、銃を発射した人間の姿が見えた。
銀でできた銃を持つ少年……いや、青年だろうか。
ボロボロの革ジャンと、赤いシャツ、ジーンズ。彼はクルクルと銃を回転させた。
「やあ。ファントムさん」
「貴様っ!」
怒りのあまり、完全に彼に目線を集中した、その時。
「逃げて!」
「は、はい!」
その声が、ファントムをターゲットに引き戻させる。
すでにターゲットにしていた少女は、一目散のもとに逃げていた。
彼女を逃がしたのは、ダウンジャケットの青年だった。長めの茶髪の彼は、少女が離れていったのを見て、最初の邪魔ものと合流した。
「あれがファントムか?」
ダウンジャケットが言った。それに革ジャンは頷き、
「そう。あれが、人間を絶望させて生まれる怪人」
こちらを指差した。
ファントムは鼻を鳴らす。
「貴様ら……我々の邪魔をするか」
「そりゃするよ。悪いけど、人を守るために頑張ってるもんですから」
そう答えるのは、革ジャン。
彼は右手に指輪をはめた。人間の手がプリントされたそれを、腰のバックルに当てる。
『ドライバーオン プリーズ』
すると、そのバックルを中心に、銀のベルトが出現した。銀でできたそれを操作し、革ジャンのベルトから、奇妙な音楽が流れ出す。
『シャバドゥビタッチヘンシーン シャバドゥビタッチヘンシーン』
不自然なほどに明るい音声。だが、発生源本人はそれに構わず、左手に新しい指輪を取り付けた。
彼の中指を彩る、ルビーの指輪。
同時に、ダウンジャケットもまた、動きを開始した。ポケットより取り出した、黒いエンブレム。龍の顔の紋章が描かれたそれを真っ直ぐ突き出すと、彼の腰にどこからか現れたベルトが装着される。
革ジャンが、指輪のカバーを下ろし、ダウンジャケットが右手を斜めに伸ばす。
二人は、同時に叫んだ。
「「変身!」」
『フレイム プリーズ ヒー ヒー ヒーヒーヒー』
「っしゃ!」
それぞれのベルトに、革ジャンがルビーの指輪をかざし、
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