第百六十八話 美濃入りその九
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「貴方はですね」
「違う」
断じてと言うのだった。
「絶対にしない」
「そういうことですね」
「これからもな、それとだ」
英雄はさらに言った。
「美濃と尾張の軍勢は組み入れる」
「我等の軍勢に」
「早速な、そしてだ」
「信濃や三河に進ませますね」
「そうする、二国の兵が無傷で入ったこともな」
このこともというのだ。
「喧伝することだ」
「兵がさらに増えたことを」
「三万以上のそれがな」
「一口に三万と言いますが」
それでもとだ、謙二は述べた。
「かなりの数です」
「並の国人では到底用意出来ないまでもな」
「少なくとも信濃や三河の戦える者を全て合わせても」
「どちらの国も三万はいない」
「それを喧伝すればですね」
「信濃や三河の国人達はさらに降っていく筈だ」
これまで以上にというのだ。
「だからだ」
「このこともですね」
「大いに喧伝させる、とかく戦よりもだ」
「降らせることですね」
「それを進めていく」
英雄は美濃に入ってからも戦わずしてそのうえで相手を降らせることを第一としていた。実際に信濃や三河の国人達は次々に降った。使者を送る前に降る者達も多く幕府は三河それに信濃の南の殆どを瞬く間に手に入れた、そして。
飛騨の国人達も全て降った、彼は稲葉山に至ったところで満足した声で仲間達に言った。
「いいことだ、これまで戦わずに進んでいる」
「それで一気に勢力を拡げているとよ」
「満足すべき状況だ」
「そうたいな」
香織はこう英雄に答えた、稲葉山の寺に入ってそこをその日の陣としているがその中で話をしているのだ。
「今は」
「そうだ、しかしここに来てだ」
英雄は今度は苦い声で言った。
「軍勢を進ませることを止めねばならない」
「そうなってきたとよ」
「魔物や獣がだ」
その彼等がというのだ。
「新たに手に入れた国で増えてきたな」
「それも一気にたい」
「巨人もだ」
彼等もというのだ。
「出て来た」
「だからとよ」
「進軍は今は止め」
そしてというのだ。
「兵達には魔物や獣を退治させてだ」
「私達もたいな」
「ここはだ」
まさにというのだ。
「自ら退治に出る」
「特に巨人たいな」
「あの連中は俺達でないと戦えない」
だからだというのだ。
「ここはだ」
「まずは連中を退治することたい」
「それに専念する」
進撃を止めてというのだ。
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