第二章
[8]前話
その猫の義足だった、その義足を見せて両親にさらに話した。
「これはな」
「そうなんだな」
「それじゃあ」
「くろとに買って付ければな」
それでというのだ。
「普通に歩ける様になるよ」
「他の猫みたいにな」
「そうなるのね」
「ずっと他の猫みたいに動けなかったが」
「それが出来るのね」
「金は俺が出すから」
こう言ってだ、息子は。
実際にお札を出してきた、一万円札ばかりだ。両親にそれを見せてそのうえでさらに話した。
「これでな」
「お前が出すのか」
「そうしてくれるの」
「くろとを連れて来たのは俺だからな」
それでというのだ。
「だからな」
「義足を買うか」
「そうするのね」
「そうしていいよな」
両親の顔を見て問うた。
「俺が出して」
「ああ、そう言うならな」
「お願いするわね」
両親は息子の意を汲んで頷いて応えた。
「それを買ってな」
「くろとを動ける様にしてあげてね」
「そうしてやってくれ」
「あんたがね」
「ああ、わかったよ」
こう言ってそうしてだった。
彼が実際にだった、猫用の義足二本の前足のそれをネットで買ってだった。
くろとに付けた、するとだった。
くろとは他の猫の様に歩ける様になった、両親はその彼を見て笑顔になって話した。
「こうして歩ける様になるなんてな」
「義足買ってよかったわね」
「全部講時のお陰だな」
「そうよね」
「家族だからな」
それでとだ、息子は両親に答えた。
「そうしたんだよ、じゃあこれからもくろとの為にな」
「皆でな」
「助けていきましょうね」
「くろとは家族だからな」
「そうしてあげましょう」
「足がなくてもな」
それでもというのだ。
「何とかなるんだ、だからな」
「これからも俺達がくろとを助けていこうな」
「三人でね」
「折角出会って家族になったんだ」
それならとだ、息子はこうも言った。
「それじゃあな」
「最後までそうしていこうな」
「皆でね」
「くろともそれでいいよな」
息子は今度はそのくろとに微笑んで声をかけた。
「俺達とずっと一緒で」
「ニャア〜〜〜」
くろとは彼の言葉に楽しそうに鳴いて応えた、そうしてだった。
義足の足で彼のところに歩いてきて顔を摺り寄せてきた、息子はその彼の頭を優しく撫でて笑顔になった、両親もその彼等を見て笑顔になった。
猫へのプレゼント 完
2020・8・25
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