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渦巻く滄海 紅き空 【下】
三十九 好敵手
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かった。

「そう簡単には行かせてくれないか…」

腕に刺さったクナイを振り落とし、ヤマトが肩を竦める。
同じく戦闘体勢に入ったナルとシカマルの目の前で、猫又が巨大な爪を振り翳した。


迫り来る爪。
地面まで削る猛威は、その瞬間、金色の髪を翻すくノ一によって、止められる。


サクラが眼を見張る中、猫又の爪を真剣白刃取りの如く、掴み取ったいのは、腕に力を込めた。


「うおらあぁあぁあああぁ!!!!」

地面を踏ん張る足が、猫又の巨躯の重さでへこむ。
だがそれを物ともせず、いのは巨大な猫を宙へ放り投げた。

大きく弧を描いて空高く放り出された猫が落下してくる。


ズウウゥゥゥウウン!!!!!!と大きな地鳴りを轟かせて墜落した猫又が目を回す。
それを一瞥し、いのはふんっと鼻を鳴らした。ポニーテールが揺れる。

「いい加減、おとなしく引っ込んでなさい」

目を回した猫又がぼうんっと大きな白煙と化す。
口寄せの術が解けて消えてゆく様を見送りながら、いのはサクラに改めて向き合った。


「お仕置きの時間よ、サクラ。目を覚まさせてあげる」


拳を握り、宣言するいのを目の当たりにして、サクラは瞠目する。
いのの言葉ではなく、金色の髪を結ぶリボンを、彼女は凝視していた。


それは、忍者学校時代、かつていじめられっ子だったサクラがいのからもらったリボン。
忍者学校卒業後、対等なライバルとして認めてほしい、とサクラがいのに返したソレは、今現在、いのの金色の髪を結んでいる。
サクラの動揺を誘うには十分な、燃えるような赤。


かつてはサクラの物であった赤色のリボンが、いのの髪を結んでいる。
ポニーテールの金に映える赤を前にして、サクラは尻込みした。

脳裏に、いじめられっ子だったサクラを庇ってくれた幼きいのの姿が過ぎる。


「歯を食いしばりなさい…!!!!」


だからサクラは、いのの渾身の拳を避けることが出来なかった。




















ズウウゥゥゥウウン!!!!!!
激しく大きな音。

こちらにまで振動で伝わってくる地鳴りに、サスケは動揺した。


「…どうやら、あちらで何か起こっているようだね…大方、木ノ葉かな?」
「なに…っ」

蛇の鱗を思わせる長い廊下。
かつて大蛇丸の自室であった部屋の前で、対峙していたサスケはカブトの一言で眉を顰めた。


大蛇丸に強襲され、【不屍転生】で器にされそうになったものの、写輪眼の瞳力で術を跳ね返したサスケ。
一番の脅威であった敵を覚めることのない眠りにつかせ、逆に乗っ取ることに成功したサスケだが、彼は浮かない顔でカブトを注視していた
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