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渦巻く滄海 紅き空 【下】
三十九 好敵手
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くれるなよ。めんどくせーから」

貌を引き攣らせるナルに、シカマルは心の底から懇願した。










大蛇丸が根城にしているアジトを突き止め、そこに潜入した波風ナル・奈良シカマル・ヤマト。
そこで、木ノ葉の里を抜けた春野サクラと衝突していた矢先、山中いのが介入してきたのだ。
それからはすっかり置いてきぼりにされた三人は、くノ一同士の戦闘の傍観を余儀なくされていた。

「あの子がサクラの相手をしてくれるなら、僕達はサスケくんを捜すことを優先したほうが良いのではないかい?」

うちはサスケがスパイとして大蛇丸の許へ下ったことを知らないヤマトがそう提案する。
同じく知らないナルは当初の目的を思い出して、ハッとした顔で、アジトの奥を睨んだ。

アジトの一部はサクラが口寄せした猫又によって崩壊しているが、辛うじて崩壊を免れている場所はまだ残っている。
蛇の鱗を思わせる長い廊下。
その奥を透かすように睨むナルの隣で、この場で唯一、サスケが木ノ葉のスパイだと知っているシカマルは内心、困り果てた。


サスケを連れ戻すことを目的とするナルとヤマトに反して、シカマルの役目はサスケが潜入捜査を続行できるようにうまく根回しする事だ。
現時点でサスケがスパイだと知っているのは、五代目火影である綱手と、五代目風影の我愛羅、そしてシカマルのみ。
サスケがスパイだとバレないように、真実を知っているシカマルが上手く誘導せよ、というのが五代目火影からのお達しだ。

サスケがスパイだとバレる可能性をなんとか回避せねばならない自分の責任を思って、シカマルは溜息をついた。


「それに、『根』のサイのことも気にかかる」

偽の死体で惑わされかけたものの、『根』の一員でありダンゾウの部下であるサイが大蛇丸とカブトの後を追い駆けていったというのは事実だ。
結局あれからサイの姿は見ていないが、大蛇丸の動向を窺っていた彼が現在このアジトに同じく潜入している可能性は高い。それに、サクラといのの戦闘が過激になってきているにもかかわらず、大蛇丸が何の音沙汰も無いのが逆に不気味だ。


「ひとまず、この場はあの…いのという子に任せて我々は────」
「サスケくんのところへ行こうっての?」


刹那、ヤマトがナルとシカマルを庇うように、印を素早く結んで腕を掲げた。
ヤマトの腕が大樹に変わると同時に、クナイが飛んでくる。それらは瞬時に変化させたヤマトの樹の腕に突き刺さった。

「馬鹿ね!行かせるわけないじゃない!!」

自分もまだ想い人であるサスケに出会えてないのに、という八つ当たり気味な口調で、サクラが猫又に合図する。
サクラの指示に従い、巨大な猫が身体のわりに俊敏な動きで、アジトの廊下へ続く道の前に立ちはだ
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