三十九 好敵手
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崩壊した廃墟に、舞う桜。
それはどこか幻想的な光景だが、時折、刃物と刃物がかち合うかのような金属音が、この場が戦場だという現実を突きつけていた。
桜吹雪の中、金色の髪と桜色の髪が踊る。
巨大な猫を足場に繰り広げられる戦闘は、波風ナル・奈良シカマル・ヤマトの介入を決して許さない。
二人だけの不可侵な戦はおよそ、くノ一同士の争いとは思えないほど激しいものだった。
「こ、のお…!!なによ、その馬鹿力!?」
数多の武器を投擲する。
忍社会においても屈指の忍具取り扱いの店から購入した武器は一般の忍具より遥かに殺傷力が高いはずなのだが、それらを己のライバルは尽く弾いてゆく。
それも、素手でだ。
飛んできたクナイを腕力で弾き、瓦礫を蹴って勢いを削ぎ、更には粉砕してゆく山中いのを、春野サクラは信じられない面持ちで見遣った。
「ア、ンタこそ…!!いつからこれほど高度な幻術、使えるようになったのよ!?」
投擲された武器を弾こうとして拳を繰り出す。瞬間、目の前の武器が桜の花びらへ変わる。
幻術だと理解した瞬間、桜の花弁の間を縫って飛んできた本物の武器を、いのは慌ててかわす。
頬を掠めて背後へ飛び去る武器を眼で追いながら、いのはチッと舌打ちした。頬に流れる一筋の血を拭う。
同時に、サクラが口寄せした猫又がいのを襲う。巨大な猫の猛攻を避けながら、いのは印を結んだ。
「すっこんでなさい!!【心乱身の術】!!」
「させるか!!【魔幻・樹縛殺】!!」
敵の精神を狂わせる術を食らわせようとするいのに対し、サクラが即座に術をし返す。
途端、いのの腕に大樹の蔓が絡みつく。大樹が絡みついて縛られる幻像を視せられているのだ。
かつて木ノ葉でサクラが、幻術のエキスパートである夕日紅から教わった術である。
【心乱身の術】の印を結び終わる前に、動きを止められたいのが唇を噛み締める。
猫又の精神を狂わせて手駒に出来なかった事を悔いるよりも先に、彼女は幻術からの解放を最優先とした。
「舐めるな!!」
己の馬鹿力で、自らの太ももを殴る。折れてはいないが相当の痛みがいのを襲った。
力技だが、効果的な方法で痛覚によりサクラの【魔幻・樹縛殺】から無事抜け出せたいのは、バックステップでサクラから距離を取る。
「力に物を言わせてるわね…いつからそんな暴力女になったのかしら?」
「あ〜ら?それはこっちの台詞よ。数に物を言わせて武器を投げるわ、幻術を潜ませるわ…いつからそんなせこい女になったのかしら?」
サクラといのの言葉の応酬に、完全に蚊帳の外だったナル・シカマル・ヤマトは内心震え上がる。
「サクラちゃんといの…こえぇ…!!」
「ナル…おめーは頼むから、あーゆー感じにはなって
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