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キリトである必要なくね?〜UW編〜
第八話 赤薔薇
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血が止め処なく溢れていた。

「しっかりしろユージオッ!」

 傷口を掌で塞ぐ。
 けれど止まらない。

「カガ、ト。ア、リスを…………頼ん、だ……よ」

 瞳が光を失っていく。
 魂の輝きが尽きようとしていた。

「お前がッ!! 助けにいくんだろッ。なぁ、ユージオ、おいユージ」

 首が、重力に従うように垂れ下がった。

「ユー、ジオ、おい、ユージオ……頼むよ、お前がいなくなったら俺は、もう………」

 頭が、痛い。

「ユージオォォォォォ!!!!!!!!!!!!」

 記憶が、縫い付けられるように蘇る。

 両親の葬式のとき。

 妹が息を引き取ったとき。

 そして――――――仲間を、殺されたとき。

「がぁ゛ぁ゛あぁ゛あ゛あぁぁ゛あ゛あぁ゛あ゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 また、俺は。
 大事な人を失うのか?
 なぁ。
 なんで?
 どうして?
 教えてくれよ。

 俺は、これからどうすればいいんだ?



「ブヒャッヒャヒャ!!!! どうだぁ、今の気分はよぉ? いやぁ殺したときの、イウムどもの顔を思い出すと笑けてくるぜぇ。あの絶望に染まった顔! ありゃあ、傑作、うぐぅッ!!!」

 心臓に剣を突き立てる。
 次に頭。
 胸。
 目。
 鼻。
 口。

 何度も。何度も。
 念を押すように。
 
「死ね、死ね、死ね、死ね、死ね」

 何度も。
 何度も。
 何度も。

 繰り返した。 

 やがて。
 ただの肉塊になった。

 殺して、しまった。

 ユージオの。
 セルカの。
 村の人たちの仇を。

 次は、誰を殺せばいい?
 誰に復讐すればいいんだ?

 ああ、そうだ。
 そもそもどうして村は襲われた?

 ユージオは言っていた。
『あれが、《果ての山脈》。あの向こう側に、ソルスの光も届かない闇の国があるんだ。闇の国には、ゴブリンとかオークみたいな呪われた亜人や、いろいろな恐ろしい怪物……それに、暗黒騎士たちが住んでいる。もちろん、山脈を守る整合騎士がそいつらの侵入を防いでいるけど、ごくたまに地下の洞窟を抜けて忍び込んでくる奴がいるらしい。僕は見たことはないけどね』

 ゴブリンどもが山脈を抜けれたのは、整合騎士の警備に穴があったからだ。
 つまりこの惨劇は、整合騎士が原因の一端だった。

 そうだ。
 ゴブリンを全員殺した今。
 やるべきことは決まった。

 やめろ。

 レッドプレイヤーを殺し回った。
 あのときと同じように。

 やめろ。

 整合騎士どもを。

 やめ、

 殺せ。
 殺せ。
 殺せ。
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