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或る皇国将校の回想録
幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(下)
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下に組み込むつもりであった。
 敵ではあったが彼らの死により皇都や他将家の支援に付随する経営への干渉に対抗する力が大きく落ちてしまう。

「流石は姐上、敵は断固殲滅しないと気が済まないまさに海の獅子、アシ――オ"ヴッ」
 回転しながら飛んできた扇子が末美の喉にめり込んだ。

「フン!まぁいいわ。次は執政府に進出する時期よ。目加田公下であったことを口実に我らを東洲灘より追いやろうとした連中に目に物を見せてくれるわ」

「オ”ェッ‥‥大姐。義兄上の言う通り東洲の復興はまだまだかかりますよ。
それこそ何年先の話になるか」

 流石に赤字のまま執政府に殴りこみを書けるほど無謀ではない。
「何年でもいいよの。我々は焦って蜂起した莫迦な目加田とは違う。
”たかが東洲の王”?馬鹿馬鹿しい!!私は君主とならずに富と権力を手に入れる。
そのためには、まず東洲をもっと豊かに、さらに高等教育も東洲で完結できるように……」
 末美も真面目な顔で頷く。高等教育すらも完結するには富裕層を定着させねばならない。
今はまだ遠い夢であるが鉱工業の中心となるにはそれも必要なことだ。
「‥‥‥東洲に必要なのはこの国の生産の心臓となること、造船と工業を再建し、西領と内地と北領に進出し、東州を富の結節点にして工場とする。
中央に官吏を送り出し、少しずつ浸透する」

 末美はニヤリと笑った。
「 ンフフフフ、次の海良当主になる俺は名君間違いなしだね、こうやって猛獣の世話を何年もヘナップ!!!」
 教育的な姉心が弟の鳩尾にめり込む。暴力に屈しない海良家跡継ぎは再び畳に蹲った。大姐は彼が再び立ち上がる男だと信じているので気にしない。美しい信頼関係なのだ。そうなのだ。

「たいそうな騒ぎだな、貴様らは」
 ――突然、瑠衣子に影が落ちた。
「 えっ、あれ、この声って」
「姉上、後ろ後ろ」

 瑠衣子が恐る恐る振り返るとそこに居たのは大陸風乗馬服に身を包んだ壮年の男である。

「なぁにをが執政府進出だこの」
 じりじりと後退りをする末美を一睨みで釘付けにすると男はスゥ、と息を吸い――
「ばぁぁぁぁぁっかぁもぉぉぉぉぉぉぉんん!!!!!!」
 ビリビリと部屋が震え、積んであった書類が崩れた。
「ひわぁぁぁ」
 情けない声をあげる弟の足をグリッと踏み、瑠衣子は頬を引き攣らせながら応対する。
「よっよっ吉光閣下。いやぁその、ホホホホホ、ご機嫌麗しゅうござ‥‥いま‥‥せんよね」
 深く息を吸い、声を出さず吐く。深呼吸を何度か繰り返した東洲伯爵、安東吉光はニコリ、と海良姉弟に笑いかける。
「貴様らの!莫迦騒ぎの!!後始末をし取ったわ!!!ごきげんなわけがあるか!この戯け共め!!!」
 ビリビリと窓が震えた。
 末美は白目をむいて仰け反
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