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或る皇国将校の回想録
幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(中)
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な戦いになるだろう。

「その為にも流通です。『関所の関州』がここに再現されるのも困ります」
 戸守達が何を考えているのかといえば東洲に悪影響を及ぼしたいわけでも、安東家を破産させたいわけでももちろんない。いうなれば『関所の関州』即ち安東家の統治下で知行を所有した者達が自由に関所を建て、通行税を取り、それをもって安東家の招集に応じて従軍した。現在光貞が求めている忠誠に対する対価こそが『関所の関州』だったのだ。
 
「皇都でもよほど評判が悪かった、あぁ分かっている事だがね」
 内王道は非常によく整備されている。なぜかといえば関州は重臣達が通行税をせしめようとそれぞれの所領に好き勝手に関所を建てていたからだ。
 皇都に近く、治安が良くともそれを厭う商人達は内王道や東沿道を積極的の整備に投資をした。特に内王道は多くの問題を抱えながらも整備され、内王道最大の村落である丹母沢が人口二千人を超える宿場町となる程に栄え、陸運の駒州に欠かせない拠点の一つとなっている。

「徴税に関しては州政庁が主導する。天領とやり方は異なるが洲内の流通を自由化するのは変わらない」

 宮浜は微笑を浮かべ、良い事ですね、と呟いた。
「さて、私の方でも何両か馬車が入っているのは確認しております」

「偽装しようにも馬車そのものが貴重品、こちらが網を張れば足がつく、と。
向こうさんも焦っておりますなぁ」
 光貞はじっと宮浜を見つめる。愛想は良いが本心は見抜けない。

 接眼鏡を向け、宮浜は笑みを深めた。
「おや、突入をはじめたようですな。少々早い」

「門を開けよ!!東洲公の御用である!御屋敷を改めさせてもらおう!」
 門衛との応答に対し令状を突き付けるが門衛は尊大にあしらおうとする。

 あまりにも一時期衆民の間で流行った世直し物の読本めいたやり取りに光貞は赤面をして咳払いをした。

「いやぁはははは、古き良き光景ですなぁ。
――さてさて」
 海良は気まずそうに間をもたせようとするがーー

 ズンッと臓腑を揺さぶる様な音が響くと海良の跡継ぎは悲鳴を上げて腰を抜かした。
 門衛達は泡を食って屋敷の中から立ち上る煙を指さして喚き合っている。
「爆発‥‥」
「おやおや大倉山の連中は蜂起に向けて玉薬でも隠していたのでしょうかねぇ」
 宮浜は気の抜けたような笑顔のまま平然としている。

「何事だ!」「改めさせてもらう!邪魔立てするなら捕縛せよ!」
「囲め!!逃がすな!」

「松田班は爆発が起きた地点と厩舎を抑えろ!!」
 保安隊はいち早く我を取り戻し、摘発の為に突入した。精神的な大義名分――というよりも確信ができたことが大きいのだろう。

「あの様子では爆薬を持ち込んだ大蔵の御山にはさぞ物騒な物が眠っているのでしょうなぁ
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