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レーヴァティン
第百六十七話 近江に入りその六

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「答えることはしない」
「それが効があるからですね」
「上様が否定されない」
「そのことが」
「肯定すれば真実ではなかったと幕府の棟梁ともあろう者が嘘を吐いたかとなる」
 そうして批判されかねないというのだ。
「だが肯定の言葉を出さないとな」
「真実かどうか不明である」
「そして否定もすればですね」
「真実はわからない」
「だからいいのですね」
「その為俺は否定も肯定もしない」
 そのどちらもというのだ。
「その様にしてだ」
「そしてですね」
「そのうえで、ですね」
「国人達に考えさせる」
「そのうえで、ですね」
「降らせていきますね」
「百戦百勝なぞ愚だ」
 英雄はこの言葉は吐き捨てる様にして言った。
「百も戦をすればだ」
「それだけ軍勢が傷付きますね」
「どうしても」
「左様ですね」
「そうなるからだ」
 だからだというのだ。
「俺としてはだ」
「戦よりもですね」
「降らせる」
「それを最善としますね」
「そうしていく、だから軍を実際より多いという噂を流すこともな」
 このこともというのだ。
「いいとする」
「わかりました」
「それではです」
「その様にしていきます」
「これからは」
「流せ、後だ」 
 英雄はさらに話した。
「幕府の軍勢と戦った者は完膚なきまで潰されるとかいう話もな」
「流しますね」
「数だけでなく」
「そちらの話もですね」
「流すことだ、強さもだ」
 数だけでなくというのだ。
「流すとな」
「尚更いいですね」
「相手は降る」
「そうなりますね」
「戦は戦場で行うよりもだ」
 それよりもというのだ。
「相手の心を攻める」
「それが大事ですね」
「戦は」
「そういうものですね」
「そうだ、城を攻めたり戦場で戦うよりもな」 
 それで勝つよりもというのだ。
「それ以上にだ」
「心ですね」
「人の心を」
「それが戦の最上で」
「この度もですね」
「そうして攻めてだ」
 そしてというのだ。
「そのうえでだ」
「勝ちますね」
「左様ですね」
「我等にとっても」
「それがいいですね」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
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