陰影ミステリアス
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者の正体はただの興味に近いからともかく、決戦時の情報は結構気になる。誰がどう戦ったのか、ツァラトゥストラには何が有効なのか、攻撃手段や防御能力がどうだったのか……そういう情報があれば、今度戦う際にあらかじめ対策を打っておけるからだ。でもまあ、何も今すぐ戦う訳じゃないし、これは後回しにしてもいいか。
「何か気がかりがあるようだけど、それは必要な時に話してあげる。それまでは目の前の事に集中して、私も力を貸してあげるから」
はい? 力を貸す?
「影の一族が一人にして暗黒樹のイモータル、赤きドゥラスロール。サン・ミゲルの太陽樹の化身として、影と光の調和を為した者として、兄さま達の遺志を継いでみせるわ」
まさかの人物の仲間加入に驚くが、しかし……、
「現実世界の身体はどうするの? あらかじめ言っておくけど、私のエナジーはそこそこの量をケイオスとイクスに送ってるから、紋章で増築されたとはいえ、そこまで余裕は無いよ?」
「大丈夫、良い考えがあるわ」
そう言ってドゥラスロールが出した提案は、私が怒りの報復心を克服したからこそ行える内容だった。恐らく、ドゥラスロールは全部承知の上で言ったのだろう。まぁ私も“彼女”と新しい関係を築かなくてはならない、と思っているから、接するきっかけの一つにはなるかな。
「説明は以上よ。要はあなたとイクスヴェリアの関係と同じね」
「力の流れは私達と逆だけどね。でも無断ってのもアレだから、先に向こうと話してから決め―――」
直後、私の精神世界で地震が起こり、ここにいる私はまるで首を掴まれたような息苦しさを感じた。これは……現実世界の私に何かあったに違いない!
「どうやら……許可は後回しになりそうね」
そう言い残し、ドゥラスロールは黒いつぼみに包まれて姿を消した。私も急いで魂を定着させて現実世界で目を覚まそうと、息苦しさに耐えながら意識を集中させた……!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ミッドチルダ北部、旧アレクトロ社研究施設
本棟1階、エントランス
「ワイヤーが切れてる。さっきの轟音はエレベーターが落ちたものに違いない」
「下に降りた人達は大丈夫なんでしょうか……?」
「ケイオスがいるから心配ないと思う。それとマリエル、外の様子はどうだった?」
「うじゃうじゃですね。外回りで出計らっていたのが戻ってきたんでしょう」
「やはり……これ以上時間が経つとマズいな……」
実際、物資搬入口付近の施設にはスケルトンやモンスター、アンデッドが戻ってきている。この本棟にも敵がやってくるのは時間の問題だった。
「このままエントランスにいるのは得策ではない。場所を変えよう」
「どこかにいい隠れ場所があるんでしょうか?」
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