陰影ミステリアス
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た国だ。まあ、手を下したのは騎士国家の首脳陣がメインだが、それはそれとして街がここまで完璧に残っていたことは正直驚きだ。しかし、よりにもよってユーディキウムとはなぁ……」
「ケイオス、ここには何か特別な価値があったりするの?」
「聖王国の技術は主にこの街で培われた。古代ベルカ戦乱期において、倫理を踏み外した非人道的な研究は、ここで行われていた」
「ギア・バーラーの君が非人道的って言うほどヤバい研究って何なのさ?」
「……アレを見ろ」
眼下の街に向けてケイオスが指さした方に、戦闘機人としての観測能力を最大限に発揮して見通すディエチとセイン。天を外郭大地で覆われて幾百年も経った今、生命の気配が完全に途絶えたはずのそこには、無数に蠢く怪物がいた。
「うぇ〜、なにあれ〜?」
「骨と皮膚だけの化け物……!?」
「あれは人体実験の被験者の成れの果てだ。通称ウェルス、ヒトのくびきを人為的に外そうとした失敗作。今の世界から見れば、あれもアンデッドの一種と考えて良いだろう。だが暗黒物質で変異した訳じゃないから、エナジーが無くても倒せる」
「ウェルス? くびき?」
「ヒトには限界が定められている。特に寿命という観点では、どのような強者や為政者でも超えることはできない。だが強大な力を持つ者ほど、失うことを恐れる。死の喪失を受け入れられなくなる」
「まあ、よくある話だよね。あのメソポタミア文明のギルガメッシュ王でさえ、死を恐れて不老不死を求める旅に出るほどなんだから」
「最終的には聖王家も不老不死を手にしたかったんだろうが、俺が一族郎党皆殺しにしたから計画は頓挫した訳だ」
「わかっちゃいたけど、あんたってエグイことサラッと言うよなぁ。その台詞を聞いたら聖王教会のお偉いさん、発狂するんじゃないの?」
「聖王教会が何を言おうが知ったこっちゃないね。ともかく聖王家は現代にいる研究者達と同様に、あらゆる手段を用いてヒトの持ちうる力の限界を超えようとした。リンカーコアの人為的強化、ロストロギア融合、遺伝子操作……アプローチは様々だがな。ちなみに遺伝子操作に関しては、巡り巡って現代のプロジェクトFATEにも一部流用されている」
「へぇ〜? それじゃあクローンは遺伝子にベルカ的な何かが施されてたりするわけ?」
「細胞の培養、保護以外で別口の改造が施されている場合は流石に話が異なるが、基本的には何もしていない。あくまで遺伝子に関わる知識が一部流用できるって話だ。例えば……こんな話がある。まず、クローンの生成は大なり小なり遺伝子に負荷を与えるから、オリジナルとの差異は少なからず現れるものだ。その代表例がオリジナルと比較した基礎能力の劣化」
「確か髑髏事件で、そういう研究論文があったって話を聞いたなぁ
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