第8章:拓かれる可能性
第257話「戦いを前に」
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。
「なのはも行くのね?」
「……うん」
既に覚悟は決まっている。
なのはも、ルフィナの知識を持っている。
そこから考えても、“絶対に勝てない”とは思わない。
否、例えそうだとしても、戦わないという選択肢はなかった。
「っ……」
士郎は“危険だ”と止めようとして、寸前でその言葉を止めた。
なのはの覚悟を理解したからこそ、止める事が出来なかった。
「……止めても無駄みたいだね。だけど、これだけは聞いておくよ」
「…………」
「なのはは、何のために戦うのか、はっきりさせているかい?」
「何の、ため……?」
それは、覚悟だけで突っ走っていないかの確認だった。
“戦わなくちゃいけない”という事実を受け入れているだけではいけない。
士郎はそう考えて、戦う“理由”をはっきりさせておきたかった。
「……世界を守らなくちゃいけないから……」
「………」
「……ううん」
最初の答えに、一瞬士郎は“まずい”と思う。
だが、なのはの言葉は続いていた。
「……違う、そうじゃなかった。……私は、私の帰る所を……お父さんやお母さん、家族や友達を守りたいから、だから戦うの」
「なのは……」
ありきたりな答えだ。
だけど、ありきたりだからこそ、その身を投げ出す事はないと、士郎は確信した。
「……あなた、私たちもなのはを信じましょう」
「……ああ。……父さん達は待っているぞ。なのはが帰る場所は、なのはがいないと意味がないんだからな。絶対に帰ってくるんだ」
「うん……!」
そう言って、士郎はなのはの頭を撫でる。
そして、ふと思い出したように激励の言葉をなのはにかける。
「なのは、御神の剣は、守る者のために力を発揮する。……まだ全てを教えた訳じゃないけど、それでもなのはならその力を発揮できるはずだよ」
「お父さん……うん、分かった……!」
今のなのはは、士郎達にとって“守られる存在”ではない。
同じ御神の剣を会得し、“守る存在”へと変わっているのだ。
だからこそ、激励の言葉を掛けた。
「そのためにも、今は体を休めなさい。まだ、時間はあるんだろう?」
「うん。そうするよ」
そう言って、なのはは部屋から退室する。
心配だった母親も無事目を覚ましたため、後は戦いに備えるだけだ。
「………」
次に向かうのは、同じく神界に向かう皆の所だ。
優輝の話を聞いた者の内、皆が皆個室に戻った訳ではない。
聞いた話について、今後について、話し合う人もいるだろう。
そんな人達がいる場所へ、なのはも向かっていた。
「あ、なのは」
「桃子さ
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