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或る皇国将校の回想録
幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(上)
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しながらそれは道理ですね、と返事をした。

「そうだよ、まったく道理だ」
 だがその冷たさが光貞には心地よかった。いや、そう意味ではなく。

「東洲の問題は言うまでもないかと思いますが、安東家としての観点で申し上げるのであれば――数年のうちに黒字を出す事ですね」
 ふむん、と支援金の金額を聞くと扇子で肩を叩きながら少しだけ考えこみ、瑠衣子はにこりと笑っていった。
「‥‥安東の御家が東洲を支配する、海良の家はその勘定を管理し、特に商工の運営について責任を持つ。それでいかがです?」

「責任を持つのは私だよ。君の夫になるのだから」
 では貴方に対して責任を持ちましょう、と瑠衣子は楽しそうに言った。

「ふむ。東洲灘の海良水軍といえば目加田公の重臣の中でもよく知られたものであったが尚武のみではないということか」
 過剰評価ですよ、と水軍統領の娘は苦笑し、頭を振った。
「海賊衆・水軍衆といえば勇壮に聞こえますが、我々の食い扶持稼ぎは商人の雇われ警備という名の通行税の徴収、そして交易です。将家の戦史に刻まれるような戦は言ってしまえば商人の雇われ警備の延長に過ぎないのです」

「……であるからには荒廃した東洲は君から見ればもう価値はないのではないかな?」
 私の挑むような問いかけに彼女はじゃれつく子犬を見るような笑みを浮かべて答えた。


「それで君の学んだ視点から我々はどう見ているのか教えてくれないか」

「10年前、あなた方は見事にこの国を統べる体制を作り上げました。
それから10年、経済的な相互依存は増し、流通は膨大なものとなりました。
一般的な水軍衆はその恩恵を受けたものです‥…‥先ほど申し上げた一般的な水軍衆から我々は外れます。どのみち我々は衰退する可能性が高かったのですから」

「……ふむ、その理由は?」
 弱みを晒すのか体制への恨みを誤魔化すのか、と疑年をもってあたる。
押しが弱い、御人が優しいなどと云われているが、それは褒められているわけではないのだと、後輩にあたる保胤君の評判と自分の評判を比べればわかる。
 相手を良く評価するのが悪い事ではない、悪い面を想定できないことが――自分の能力の欠如なのだ。

「この数年間、連続して発生した内乱は豊公、南嶼、龍州、そして東洲です。
つまりは――」

「あぁなるほど、南廻航路ということか。君達は伝統的に皇都との結びつきが薄い。
西領と南嶼、そして東洲、龍州と北領を結び、栄えてきたが逆に言うと駒州や護州を相手にしても御用商人ほどではなく、中枢である皇都ついては新参に等しい扱いであったということですね」

 瑠衣子嬢はほう、と感心したようにうなずいた
「お見事です、言うべきことがなくなってしまいましたわ」
「ひどいな、これでも私は経世済民の
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