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或る皇国将校の回想録
幕間 安東夫妻のほのぼの☆東洲再建記
第一章安東家中改革
安東家中大改革(上)
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にする事もなく妻の元へと足早に近寄るが、当の瑠衣子は艶然と微笑んでそれを迎えた。
「それは結構なことではありませんか?」
「――瑠衣子!」
「最初に伝えたとおり、最初に領民にもわかりやすいように布告を出しています。平文で分かりやすく、利を説いたものをですよ。
率直に領民が飯を食えずに匪賊になるのは殿様も困る、と書いておりますので進んで働きに出るでしょう」
 瑠衣子は眼鏡を外し、光貞の目をのぞき込んだ。
「光貞さん、彼らの土地に向けても我々の出費で食糧の輸送を行っています、仮設の手当ても。権益を育てるといった者達には補助を行っています。
もそうです。それなのに主家と交渉もせず立てつくというのなら――」
 ね、わかりますでしょう?と瑠衣子は冷たい笑みを浮かべた。
 光貞はこの時ようやく彼女が何を狙っているのかを理解した。彼女は焦土を再建するという題目を利用し、”安東家中”の構造を組み替えようとしているのだ、。
 光貞は逡巡し、そして首肯した。彼は安東の若頭領でありこの焦土を建て直すのと同じように家中を作り直す必要を感じていた。
 だからこそ――彼女を伴侶にすると決めたのだ。
 安東光貞の美徳にして欠点であったのは向けられた好意に篤実であり過ぎる事であった。


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