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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
人と希望 後編
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安が募る。そのせいで勝利の味を味わえずにいたヨザイネの頭に、アンクセラムが手を乗せる。

「はいはい、じゃあ戦争も終わったから、あなたたちのいくべき場所に行きなさい」
「いくべき場所・・・」

ヨザイネがそちらの方へ視線を向ける。ただ、それは天使の時からずっとお世話になってきたこの肉体とのお別れを意味していた。

「とうとうこの体ともお別れなんだね」
「次に生まれてきても、一緒にいられるといいですね」

あの世へ行くことに躊躇いのあるヨザイネとは真逆の位置にいるゼレフとメイビス。二人は立ち上がると、向かわなければならない道へと目を向ける。

「行こうか、オーガスト」
「・・・はい、お父さん」

前向きな二人とは異なり、足取りの重いオーガスト。それもそのはず、彼はようやく両親に存在を気付いてもらえたのに、それを放棄し次の生命体へとならねばならないことに、気が進まないのだ。

「行こう、ヨザイネ」
「・・・えぇ」

そしてこの少女も同じように動きが悪い。ようやく再会できた息子の姿をもうこの目で見ることができない。それが何よりも辛く、悲しい。

「あ、大事なことを忘れてたわ」

全員があの世への扉へ向かっている最中、黒髪の美女が突然立ち上がり全員の方を向く。すると彼女は人差し指を立て、緑色のビームのようなものを放つ。

「「うわあああああ!!」」

それは見事に、オーガストとヴァッサボーネに命中し、魔力の中に閉じ込められた。

「アンクセラム様!?」
「一体何を!?」

いきなりの攻撃にヨザイネとメイビスが彼女の方を振り返る。そのビームを受けた二人は次第に小さくなっていくと・・・

「え・・・」
「これは・・・」

そして光から解放された二人の姿に皆驚愕した。なぜなら、ヴァッサボーネはかつての人間の姿に、オーガストは子供の頃の姿に戻っていたのだ。

「あなたたちが戦いばかりするせいで死者の輪廻転生が全く追い付かないのよ。しばらく時間をあげるから、楽しんでおくことね」

多くの不幸が重なり失われた家族の時間。それを与えてくれた神に深くお辞儀する少女たち。彼女たちは手を繋ぎ扉の向こうへと姿を消した。

「やっと戦いは終わったわね・・・でも・・・」

かつての使い魔たちを送り出し、一人になった女性は荒れ果てた地上の様子を見ながら、深い深いタメ息を漏らし、頭を抱える。

「これはもう・・・消されるかもしれないわね、この世界は」

ヨザイネが自らの生命を犠牲に救われた命もあるが、それでも失われた命も多くある。あまりにもひどく荒れ果てている世界を見て、彼女はその後のことを考えていたが・・・

「ま、いっか。それよりも・・・」

すぐに考えるのをやめ、後ろを振り返る。そこ
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