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FAIRY TAIL〜水の滅竜魔導士〜
人と希望 後編
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く、全員が彼女の顔を見る。

「天海は戦う意味がなくなってしまったから、行動に移せなくなったのよ」
「戦う意味?」
「うん。天海は強者と戦い、強くなることが小さい頃からの目標であり、人生の全てだった」

エドラスにいた頃から武道に勤しみ、実の父さえもその手に掛けた。しかし、それゆえに彼は何度も行き止まりに達した。

エドラスでもアースランドでも、名高き強者たちと幾度となく戦いを繰り広げてきた。しかし、彼とまともに戦える者などほとんどおらず、全てに勝利してきた。
頂点に立ち続けてきた彼は自身に渡り合える存在に巡り合うことができなくなる度に、戦うことをやめ、同時に人生に幕を下ろそうと思っていた。

そんな時に現れた最後の希望(そんざい)がティオスだった。初めて見た時から周りとは違う雰囲気を纏い、最強として君臨し続ける天海が唯一勝てなかった相手。強者との戦いを好み、強くなり続けることが目標だった天海にとってこれ以上の存在はいない。

ティオスの目的に協力しながら、さらなる強者たちと戦い力を付ける・・・そして全てを達成した暁には、最後の戦いとしてティオスに挑み、勝利する。そのために生き続け、戦い続けてきた。だが、たった今その目標は命を落とし、挑むことが叶わなくなってしまったのである。そうなってしまっては、彼は再び抜け殻になってしまうしかない。

「人は希望がなければ動けない。人類の全てに終止符を打つことに希望を見出だし動き出したティオス・・・そして彼との戦いに夢こがれた天海・・・二人を動かし続けたのはそれぞれの希望。でも、それを断たれてしまったら人は行動することもできなくなる。それだけ脆いものなのよ、人間は」

ドラゴンたちを殺し、息子と最愛の人物の仇を取ることに全てを賭けた彼女だからこそ、二人の気持ちはよくわかる。彼女もまた、息子が生きていたことがわかった途端に戦意を喪失してしまったことを、いまだに思い出せる。

「もう彼が私たちの前に現れることはないわ。ティオスと共に、深い眠りにつくのかな?」

最大の脅威が取り除かれたことに安堵の表情を浮かべる。しかし、すぐにあることが気になり、彼女の顔が曇る。

(天海を倒すならティオスが味方になるしかないと思ってた。でも、あなたは結局目覚めることができなかったわね)

レオンとシリル・・・二人が融合したことにより生み出された存在(ティオス)。心優しい二人のはずなのに、彼は暗黒面から一度も戻ってくることがなかったことが気がかりだった。

(あの危険な思想はシリルのもの?それともレオン?二人が融合してしまったから起きたこと?何もわからない・・・でも・・・もし二人が今後あんな風になってしまったら、誰も止めることができないわ)

最悪の事態を回避したはずなのに、新たな不
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