人と希望 後編
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「シリル!!ナツさんが・・・」
思わず最後の頼みの綱に泣きつきそうになりましたが、彼の姿を見てその言葉を飲み込みます。
なぜなら彼の体からは、もうほとんど魔力を感じることができなかったのですから。
「負けたのか・・・俺たちは・・・」
「もう・・・何も手だては残されていないの・・・?」
二人に魔力を与えたことにより立ち上がることもできない私たち。目の前に広がる光景に皆さん涙を流し、うずくまる人たちまで現れます。
「終わりだ」
冷静な表情でそう言った天海は、ゆっくりとした足取りで先ほどまで戦いを繰り広げていた少年の元へと歩き出します。
「シリル!!」
きっと彼が殺されてしまう。私の一番大切な人・・・彼を失いたくない・・・そう思い駆け出そうとしましたが・・・
「あう」
体には力が入らず、立ち上がることもできません。その間にも、東洋の衣服に身を包んだ彼は歩を進めていきます。
「もう終わりなんだね・・・」
「うん。終わりだよ」
私たちと同じように絶望に涙するシェリア。その言葉に同調したのは、彼女の幼馴染み。でも、彼の表情は私のものとは違い、晴れやかなものに見えました。
「長かった戦いが、やっと終わったんだ」
座り込み動くこともできないシリルの前までやってきた天海。彼は少年を見下ろすと・・・
「ふぅ」
深いため息を漏らし、背を向けました。
「終わりだな、ティオス」
次に視線を向けたのは両腕を失い、地面に倒れたまま微動だにしない仲間。彼はその体を抱えると、肩に担ぎ上げ、そして・・・
「お前たちの勝ちだ」
私たちに一瞥もすることなく、歩き去ってしまいました。
「え・・・」
「どういうこと?」
急に振り向いて攻撃をしてくるわけでもなく、そのまま姿が見えなくなってしまった二人。何が起きているのかわからない私たちは、ただ呆然としていることしかできませんでした。
「やっぱりな」
その姿を見て、一言そう呟いたのは、彼と一番最初に交戦した少年でした。
「どういうことだ?レオン」
「簡単だよ。天海はもう・・・戦う意味がなくなってしまった。それだけなんだ」
彼の言葉にますます困惑する私たち。彼は自分の考えをありのまま説明してくれました。
第三者side
「やっぱり、こうなったわね」
地上の様子を見ていたヨザイネが戦いの結末を見てそう口を開く。これを聞いたオーガストたちは、そちらへ視線を向ける。
「どういうことだ?ヨザイネ」
「なんで天海は戦うことをやめたの?」
オーガストとヴァッサボーネが問いかける。その答えは他の面々も気になっているらし
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