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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
こうしてアタシは、出てこれた。
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ーヴァントを悪魔と見なし、排除しようとする宗教団体。
しかしなぜその教祖たる存在がそのサーヴァントを持っているのか。
「僕の友達が悪魔と契約していてね。それを肩代わりしたんだ。」
「へー。なにそれネトラレってやつ?」
「…?言ってる意味が、よくわからないな。」
そういった用語には疎いのだろう、教祖は首をかしげる。
サーヴァントであるブラダマンテはかまえ、対するロボも唸り声を上げた。
「じゃあ残念。借り物なんかに私のロボは倒せないよ。」
「ロボ…シートン動物記の狼王か…悪魔というのはなんでもありだな。」
呆れながらも教祖はロボを指差し、田所先生いわく借り物サーヴァントに命令する。
「ならばこちらは有名な物語に名を馳せたらしい聖騎士の一人だ。動物とはわけが違う!!」
彼の言葉とともにブラダマンテは跳ぶ。
ロボもまた、首狩り鎌を噛みしめ跳躍した。
槍と鎌が地上で交差する。
大狼と聖騎士。大勢の教徒が見守る中その二騎の戦いが始まった。
「ウウウ…!!」
「お任せくださいマスター!復讐に身を染めた獣などにこのブラダマンテ!負けるはずがありません!!」
サーヴァント同士の戦い。
香子はキャスタークラスであり、二人の戦いは見ることしかできない。
しかし、自分でも援護くらいはできるはず。
そう思ったときだ。
「あ、いたぁ。」
緊張感のない、間延びした声が聞こえた。
教徒の一人が気付き、「ひぃ!」と悲鳴を上げて腰を抜かす。
そこにいたのは
「あ、葵様…?」
バットを引きずり、血にまみれたマスターだった。
自分を見つけるなりそのバットを適当に投げ捨て、こっちに向かって走ってくる。
そして
「わっ!」
「香子だぁ。やっぱふかふかだぁ…。」
飛び付くように抱きつき、血で汚れているにも関わらず彼女の胸に顔をこすりつけた。
「葵様!?な、なにを」
「なにをって、こうやってギューってしてるんだよ。」
自分に抱きついてるのは確かにマスターの源葵。
だが、何かが違う。
妙に子供っぽく、そして純粋だ。
「寂しかったんだよ?今まで暗いところに閉じ込められて、アタシも香子とえっちしたかったんだよ?」
「こ、ここでそのような発言はお控えください!」
と注意した際、違和感があった。
アタシも、香子とえっちがしたかった。
アタシもとは、どういうことだろうか?
まるで別人のような言い方。自分とマスターの魔力供給を見ていたような言い方。
この目の前にいるのは…何だ?
「あなたは…一体…。」
「アタシ?アタシはアタシ。源葵だよ?」
ニィ、と笑って歯を見せる葵。
違う。彼女は源葵ではない。自分のマスターではない。
この"何か"は危険だ。
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