ちいさなしまのおはなし
てんしさまのおはなし
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のこどもも、どこにもいません。
どこをみわたしてもいないのです。
せかいのどこにもいないのです。
だから、かみさまにおねがいしました。
かみさま、かみさま、おねがいです。
どうかげかいにいかせてください。
あのこをさがしたいのです。
やっぱりかみさまは、うんといってくれませんでした。
てんしさまはなきました。
たくさんたくさんなきました。
どれぐらいないたのか、わからないぐらいなきました。
おとこのてんしさまは、ずっとそばにいてくれました。
けもののてんしさまは、いっしょにないてくれました。
でもおんなのてんしさまは、なきやみませんでした。
なきやんでくれませんでした。
なかよしのてんしさまたちがそばにいてくれたのに、かなしみはきえてくれませんでした。
でもそのかなしみは、いつしかよろこびにかわりました。
りゅうのこどもは、いきていたのです。
ざんぎゃくとぼうりょくから、のがれていたのです。
りゅうのこどものいちぞくは、みんなみんなしんでしまったけれど、そのこはいきていたのです。
それをしったとき、おんなのてんしさまはよろこびました。
かなしみのなみだは、よろこびのなみだになりました。
てんしさまは、もういちどかみさまにおねがいしました。
かみさま、かみさま、おねがいです。
わたしのすべてをあなたにかえすので、あのこのそばにいさせてください。
えいえんのいのちなど、あのこのためならおしくありません。
かみさまはやっと、うんといってくれました。
おんなのてんしさまは、じぶんのすべてをかみさまにかえして、りゅうのこどものもとへといきました。
ひとりぼっちで、かなしくてないていたりゅうのこどもは、もうひとりぼっちじゃありません。
てんしさまだったてんしさまと、りゅうのこどもは、ずっといっしょに、しあわせにくらしました。
「……めでたし、めでたし。どう?」
語り終えたちゃっちゃんは、首を傾げながらヒカリに微笑みかける。
しかしその微笑みは、何処か悲しみを帯びているように見えた。
なっちゃんの話に聞き入っていたヒカリとプロットモンは、眉尻を下げる。
「何か……悲しいお話だったね」
『そうね……ねえ、他の天使はどうなったの?』
「さあ、そこまでは。女の天使様と一緒に竜の子どもの傍にいたっていうお話もあるし、いなくなった女の天使様の分まで平和を守ったっていうお話もあるわ」
色々と話のバリエーションはあるらしい。
聞いたことがなかったけれど、帰ったら調べてみようかな、とヒカリは3つ目のリンゴに手を伸ばし……。
どぉん!!
「きゃあっ!?」
「え、な、何!?」
突如として揺れる地面。ヒカリとなっちゃんとプロットモンは、ぎょっと
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