ちいさなしまのおはなし
てんしさまのおはなし
[6/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
でくるヒカリの手が震えているのが伝わって観念したのか、女の子は困ったような表情を浮かべてヒカリを見下ろした。
「あの、天使さん?お名前は?」
逃げる様子がないことにほっと胸を撫で下ろしたヒカリは、手を離して女の子に尋ねた。
女の子はしばらくもじもじしていたのだが、そのうち消え入りそうな小さな声でぽそりと口を開いた。
「……アタシ、天使じゃないよ。なっちゃんって言うの」
なっちゃん。女の子はそう言った。
天使さんじゃないの?ってヒカリは首を傾げる。
ふわふわの甘いお菓子のようなバターブロンドと、太陽が反射した海のような瑠璃色の目、白いワンピースと背中に見える白い羽は、どう見ても絵本で見た天使なのに。
そう言ったら、白い羽はなっちゃんが背負っている鞄についているもので、背中を向けて見せてくれた。
天使さんじゃなかったことを残念に思いながらも、天使さんがお名前を言ってくれたことが嬉しいヒカリは全く気付かない。
なっちゃんと名乗った女の子の容姿は、いつだったか大輔くんに見せてもらったアメリカの写真に写っていたお友達のような、アメリカの人達のような見た目なのに、名前は日本人そのものであることは色々とおかしいのだけれど、まだ小学2年生のヒカリは知る由もなかった。
「なっちゃんね、私はヒカリ。こっちはプロットモン」
『よろしくね!』
「……うん」
手を差し出すと、天使さん……なっちゃんは交互にヒカリとヒカリの手を見つめた後、ぎこちなく手を取って微笑んだ。
「なっちゃんはどうしてここにいるの?もしかしてもゲンナイさんに呼ばれたとか?」
「……う、ん」
『え?じゃあパートナーは?』
「……は、はぐれちゃって……」
「大変!じゃあ探さなきゃ!」
なっちゃんの言葉に、ヒカリとプロットモンが慌てる。
ここはデジモン達が住む異世界である。人間はいないのである。
ヒカリ達でさえ、デジモン達と一緒にいないと安心して歩けないぐらいには危険地帯だというのに、パートナーとはぐれてしまったなんて、一大事だ。
ヒカリは自分が置かれている状況も忘れて、なっちゃんのパートナーを探そうと言った。
なっちゃんは目を見開いて驚いていたけれど、すぐに可愛らしい笑顔を見せる。
「……うん、そうなの、大変なの。だから一緒に探してくれる?」
そして今に至る。
なっちゃんとはぐれてしまったパートナーを探して、あちこち歩き回っているのだが、幾ら探しても、それらしいデジモンは何処にも見当たらなくて、ヒカリは困ったなぁって眉尻を下げた。
なっちゃんのパートナーデジモンはピコデビモンという名前のデジモンらしい。
姿は丸っこくて、蝙蝠みたいな羽が生えていて、見た目は怖いけれど、とっても優しいのだそうだ。
ふー
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ