ちいさなしまのおはなし
てんしさまのおはなし
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、茂みの向こうにいるであろう何者かは、自分達が知っている気配ではないのだろう。
そもそも太一達だったら、茂みに隠れている必要はない。
どうしよう、ってヒカリの内心はパニックだった。
ガサリ
また茂みの葉が鳴る。
もう決定打である。ヒカリの目の前で茂みが揺れたのだ。
誰かがいることはもう間違いなかった。
「ね、ねえ!誰かいるの?」
再度問いかけるヒカリだったが、茂みの向こうからは何の反応もない。
数分待ってみたけれど、茂みの向こうから飛び出してくる気配はなかった。
だがプロットモンの表情は険しいままだったので、まだ茂みの向こうに何かがいるらしい。
……敵意は、ないのだろうか。
ヒカリは、息を飲んで覚悟を決め、茂みへと歩み寄っていった。
こつ、スニーカーが地面を踏みしめる。
茂みとの距離は、約1メートル。プロットモンが心配そうにヒカリを見つめても止めようとしないのは、茂みの向こうの気配から殺気や敵意を感じないことに気づいたからだろう。
こつ、また近づく。手を伸ばせば届く距離だ。
恐る恐る手を伸ばす。
がさり、茂みに手が乗る。
がさり、茂みの向こうが揺れる。
やっぱり、何かいる。
大好きなお兄ちゃんと、1番仲のいい男の子に影響された女の子は、行動も大胆になってきている。
えーい、って茂みをかき分けて、そこにいたものにヒカリは目を見開いた。
「え……!?」
『ヒカリ?………ええっ!?』
ぎょっとなって硬直するヒカリを見て、プロットモンも慌ててヒカリの隣に並んで、ヒカリがかき分けた茂みの中を覗き込む。
そして、同じように驚いた。
そこにいたのは、なんと人間の女の子だった。
茂みに隠れるようにしゃがみこんでいたのだが、ヒカリがかき分けたせいでがっちんと硬直しながらヒカリを見上げている。
バターブロンドの髪は肩までの長さで、ふわふわしている。
深い海のような瑠璃色の目は、見ているだけで吸い込まれそうだった。
パフスリーブの白いチュニック型のワンピース。
真雪のような白い肌と、背中から見える小さな翼は、まるで。
「天使さん……?」
「っ……!」
『あっ!ちょっと!』
目を奪われるほどに美しいその容姿に見とれて、ぽそりと呟いたヒカリが声をかけたのがきっかけになったように、硬直が解けた女の子は、ペタンと尻餅をついた後、ばたばたと手足を動かしながら、ヒカリ達に背を向けて逃げ出そうとした。
ヒカリとプロットモンも慌てて追いかける。
「あっ……!ま、待って!」
足元を縺れさせながら逃げようとした女の子の腕を、ヒカリは両手でがっしと掴んだ。
ゲンナイさんはいないと言っていた人間を見つけたのだ、1人になりたくないこともあって、ヒカリは逃すまいと必死だった。
掴ん
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