ちいさなしまのおはなし
てんしさまのおはなし
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ろした。
ヒカリよりも身体が小さいテイルモンが、女の子とは言え2人の人間を抱えて何でもないように大きくジャンプしたのである。
すごい、ってヒカリはようやく事態を飲み込み始めて、頬を上気させた。
「すごいね、プロットモン!あんなに身体が大きいデジモン、あっという間に倒しちゃった!」
『ふふ、今はテイルモンよ、ヒカリ。当然じゃない、身体が小さくとも成熟期よ。あんなのに負けるわけないでしょ』
そう言って胸を張るテイルモンに、ヒカリは目をキラキラさせながらすごいすごいって何度も連呼した。
なっちゃんはふふ、って苦笑している。
……そして、少し寂しそうな表情を見せた。
『……さて、いつまたドリモゲモンが起きてきて襲い掛かってくるか分からないし、早くここから離れましょう』
「うん、そうだね。なっちゃん、行こう?」
「……ヒカリ」
なっちゃんに手を差し出そうとしたヒカリは、なっちゃんの落としたような呟きを拾った。
なっちゃんの向こうから風が吹いて、なっちゃんのバターブロンドのふわふわの髪が、風と戯れて遊んでいる。
瑠璃色の目は、太陽を背にしているせいで、暗い影を帯びているような気がした。
一瞬だけ、ヒカリは息を飲む。
「……ごめんなさい」
「え?」
なっちゃんは、何故か頭を下げた。
え、え?ってヒカリとテイルモンは慌てる。
「ごめんなさい、ヒカリ。本当にごめんなさい」
「な、なっちゃん?どうしたの?」
『何故謝るの?』
「……アタシ、ヒカリと一緒に行くことはできないの」
「……何で?」
「アタシね、ヒカリに嘘ついてたの」
嘘?ってヒカリとテイルモンが首を傾げると、なっちゃんはようやく顔を上げて、小さく頷いた。
「ゲンナイさんに呼ばれたっていうのも、パートナーとはぐれたっていうのも、嘘なの」
「……そうなの?」
『何故そんな嘘を……』
「……あのね、ヒカリ、テイルモン。約束してほしいことがあるの」
なっちゃんはヒカリとテイルモンの質問には答えず、彼女の両手を取って優しく握り、ヒカリの目をじっと見つめた。
「約束……?」
「そう、約束。そうしたら教えてあげる」
真剣な表情で見つめてくるなっちゃんの剣幕に、ヒカリは何を感じたのか、同じように真剣な顔つきになって、しっかりと頷いた。
なっちゃんは、ほっとしたように表情を緩め、ありがとうと小さく言った。
「あのね、アタシと逢ったこと、誰にも言わないでほしいの」
「……どうして?」
「約束、して」
ぎゅ、とヒカリの両手を握るなっちゃんの手は、少し震えていた。
そのことに気づいて、ヒカリはなっちゃんと自分の手を見下ろした後、顔を上げてなっちゃんを見やる。
見つめ合うこと、凡そ数分。
「……分かった
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