ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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ような表情をしているを見るに、手放しで歓迎はしていないようだ。
自分達にはゲンナイからもらったテントもあるし、今更寝るところで困ることはないのだが……。
「……入ってみるか?」
どうせ人間はいないのだ、だったら屋敷に勝手に入ったところで咎める者は誰もいない。
調べるだけ調べて、特に異変がないのならここで一泊すればいい。
どちらにしろ、疲れているデジモン達を休ませないといけないのだから。
太一が子ども達に尋ねると、全員が頷いたので、屋敷に入ることにした。
否、全員ではなかった。
「………………」
『……ダイスケ?入らないの?』
未だ震えて、大輔と手を繋いでいるブイモンが、みんなの後を追おうと1歩踏み出したのだが、後ろに引っ張られたような感覚がして立ち止まる。
引っ張られたのではなく、大輔が動こうとしなかったからだと気づいた。
大輔だけではなかった。
賢も、そしてヒカリも。
それぞれのパートナーを抱いて、館を見上げている。
その表情は……崩れた崖を見上げていた時と全く同じだった。
『……ダイ、』
「なあブイモン」
大輔が、口を開く。
「何か、変な感じしねぇ?」
そう言って、大輔は館から目を離さない。
しかしブイモンの手を握っている大輔の手は、力を入れすぎてブイモンとは別の意味で震えていた。
そんな大輔を訝しみながらも、ブイモンは大輔が言った“変な感じ”とやらを探ってみる。
『……別に、変な感じはしないよ?』
しかし大輔の言う“変な感じ”を、ブイモンは何も感じなかった。
変な臭いや、何か敵意を持ったデジモンの気配などを探ってみたが、何も分からないのである。
だから素直にそう言ったら、驚いたような、でもすぐに納得したような表情になって、ブイモンの手を引いて太一達の後を追った。
賢とヒカリは、大輔がどうするのか見守っていたようで、大輔が走り出した後を慌てて追ってくる。
シンプルながらも重厚なドアの取っ手は、金の細工が施されている。
太一が代表してドアを開ければ、静まり返った館内は仄かな光源で灯されていた。
暗い赤の絨毯に足を踏み入れる。
2階へと通じる階段が右側にあり、どの部屋も固く閉ざされていた。
「ふーん、特に変わった様子はないな……」
「ま、今更何が現れても、もう驚かねぇよ」
ぐるりと辺りを見渡して、治が言う。
静まり返った館内は一種の不気味さすら感じるが、どう見ても人間用の建物にデジモン達が住処にしているとは思えない。
中も綺麗で、散らかっていないところを見ると、野生のデジモンがいる気配は見受けられなかった。
「わー!綺麗な絵!天使様の絵だわ!」
ミミが歓喜の声を上げる。
エントランスの正面の壁には、淡い色使
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