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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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ろうな、って判断していたけれど、ブイモン達はいつもと様子が違うパートナー達に、デジモンに襲われたり崖が崩れたりしたせいで怖がっているのではない、と直感的に気づいていたのだが、何度問いかけてもパートナー達は答えてくれなかった。





やっと下山した頃には、もう日が傾いてオレンジ色に染まり切っていた。
相変わらず不思議な色をした夕方の空だが、漂流生活が5日ほど経とうとしている子ども達は、子ども故の柔軟性ですっかり慣れ切ってしまっている。
それよりも心配すべきは、デジモン達だ。
デジモン達が守ってくれているお陰で子ども達はマシなのだが、連日戦闘の日が続いており、更にアグモンとピヨモンとゴマモンは、そう間を置かずに2回目の進化を果たした。
ブイモンとパタモン、プロットモン以外のデジモン達の顔は、疲れ切った色を隠さない。
足元はフラフラで、今にも倒れそうだ。
このままでは、他のデジモンに襲われた時に戦うどころか逃げることもできない。
元気なのはまだ進化を果たしていない最年少のパートナーデジモン3体、そのうち1体はまだ小刻みに震えて、項垂れている。
それでも、下山している間にいつもの調子を取り戻した大輔が、仕切りに声をかけてやることで何とか落ち着いた状態だ。
つまり、実質動けるのは、パタモンとプロットモンのみである。
2体とも持っている技に殺傷能力はない。
これ以上は無理だ、ということで、何処か少し開けた場所でテントを張ろう、ということになり、子ども達は立ち止まる。
子ども達が今いる場所は、左右に森が分かれた道の上。
他のデジモン達の通り道でもあると思われるので、こんなところでテントを出すことはできない。
何処かいい場所はないだろうか、と辺りを見渡していた時に、丈が森の奥を指さして悲鳴を上げた。
明らかな人工物のそれに、子ども達は走り出す。
近づいていくにつれて、それは夢幻などではなく、現実のものであると理解した子ども達の心は、安堵に満ちていた。
それは、大きな館であった。
おとぎ話や、テレビのヨーロッパ特集なんかで見るような、洋式の建物だったのである。
深い森の中に、不自然なぐらい自然に溶け込んだ、立派なお屋敷だった。
館の前は人の手が加えられたように整備されており、溜息すら漏らすのを躊躇うほどに荘厳だった。
素敵、ってメルヘンチックなものが大好きなミミが両手を口元で組んでお屋敷を見上げる。

「……どう思う?」
「……繋がらない電話、湖に放置されていた電車、沸騰した温泉地に置いてあった冷蔵庫……あれと似たようなものだと思う」

人がいるはずのないこの世界で、野生動物のように生きているデジモン達がいるこの世界で、いかにも人が住んでいますと言った様子を隠さない屋敷に、太一と治が警戒心を抱く。
丈も似た
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