ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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く、モノクロモンの影も形も見当たらないのはおかしい。
先ほどの崖崩れに巻き込まれたのか、と丈は崖の下を見下ろす。
木々が広がった緑の絨毯しか見当たらないが、いかにモノクロモンと言えど落ちれば一たまりもない、という高さだ。
助かった、と子ども達が安堵する中、最年少の3人は岩が崩れた辺りを見上げていた。
「………………」
『……ケン?どうかした?』
未だ震えているものの、先ほどよりは落ち着いてきているブイモンの背中を撫でていたパタモンは、パートナーとその友達が黙って上を見上げていることに気づいて声をかけた。
しかし返事はない。
プロットモンと顔を見合わせ、もう一度声をかけようとしたら、弾けるように上から顔を逸らして、賢はパタモンと、ヒカリはプロットモンを抱き上げ、そして大輔はまだ震えているブイモンの手を取って崖から離れた。
『……ダイスケ?』
『ケ、ケン?』
『ヒカリ?どうしたの?』
その顔色は、とてもではないがよくなかった。
まるで怖いものや嫌なものを見たような、恐怖で引きつっているような表情。
賢とヒカリは真っ青で、大輔は恐怖を押し殺しているように見えた。
いきなり岩陰から飛び出して崖の上を睨みつけた最年少に、子ども達は目を丸くする。
「おい、大輔?どうした?」
「……太一さん、早く降りよう?」
太一が代表して声をかけると、だんまりだった大輔が崖から目を離さずに答える。
「大輔?」
「……お兄ちゃん、また崖が崩れたり、さっきみたいに他のデジモン達が襲ってきたら、危ないよ。早く降りようよ」
治も大輔を呼ぶと、賢が治の手をぎゅっと握ってきた。
その手は、微かに震えている。
ヒカリも似たようなもので、太一にたーっと向かって行って、ズボンを握りしめながら引っ付いた。
ヒカリに抱き上げられているせいで、太一とヒカリに挟まれて、プロットモンは苦しそうに押し潰されている。
最年少の様子に、ミミがみんなを急かした。
きっとデジモンに襲われたことと、急に崖が崩れたことで、大輔達は怖がっているのだと主張して、早く山を下りるべきだと。
最年少をこれ以上怖がらせてはいけない、というミミの主張により、上級生達も、それもそうだなって納得して、急いで下山した。
『……ねえ、ヒカリ。どうしたの?』
お兄ちゃんにしがみついて離れないせいで押し潰されているプロットモンは、何とか顔だけ抜け出して小さな声でヒカリに尋ねる。
プロットモンを抱きしめている腕の震えが、伝わってきている。
何とかしてあげたくて、プロットモンは顔を摺り寄せたが、ヒカリは答えない。
賢もパタモンを左腕で抱きながら、右手はしっかりと治の手を握っているし、大輔もブイモンと手を繋いでいて、離さない。
上級生達は怖がっているのだ
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