ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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背中に触れてしまった。
『っ!!』
肌と肌が触れる。程よい体温が、ブイモンの背に添えられる。
赤い目を見開き、ひゅ、と息を飲んだブイモンの悲鳴は、転がり落ちてきた岩が、ガルルモン達の技によって粉砕される音でかき消された。
「……ふう。みんな、大丈夫か?」
粉砕された岩だったものは細かい砂となって、子ども達に降り注ぐ。
岩に身を隠さず、グレイモンを応援していた太一は、隠れていた子ども達に声をかけた。
「……僕らは、な」
ひょこ、と顔を出した治は、険しい表情を浮かべている。
目線は、すぐに逸らされた。岩陰の向こうを向いているが、隠れている誰かに向けられているようだった。
治だけではない、岩陰から顔を覗かせた、ミミと空、それから光子郎も困ったような表情を隠さず、太一と岩陰を交互に見つめている。
何かあったらしいと察した太一は、岩陰を覗き込んだ。
最年少3人と、パタモンとプロットモンがうずくまっているブイモンを囲み、その傍らで丈が申し訳なさそうに項垂れている。
「……何があったんだよ?」
「……さっき、岩が崩れた時に……」
事情を話せば、太一は呆れたように溜息を吐く。
ブイモンに触れてはいけないと、最初の夜に話し合っていたのに、そう子ども達に言い聞かせていたのは丈だったのに、それをすっかり忘れていたようだ。
だが無理もないだろう、あの夜からみんな極力ブイモンには触れないようにしていたし、それ以外は本当に普通だった。
だから、すっかり忘れてしまっていた。
覚えていなければならない大事なことだったのに、あんまり普通だったものだから、そして次から次へと子ども達に襲い掛かる試練を乗り越えるのに必死だったから、頭の中から抜け落ちてしまっていた。
何やってんだ、と言いたげに太一が睨めば、面目ない、と丈はますます項垂れる。
自分がやったことを棚に上げて丈を責めているが、丈だって悪気があってブイモンに触れたわけではなく、むしろ条件反射のような形だったのだ。
これ以上責めてもしょうがない。
それよりも、
「あ、アグモン!」
モノクロモン相手に奮闘していたグレイモンは、いつの間にかアグモンに退化して、その場に倒れこんでいた。
アグモンだけではない。ガブモンもパルモンも、ピヨモン、テントモン、そしてゴマモンも、ぐったりと伏している。
慌てて太一が駆け寄ってアグモンを抱き起せば、大丈夫という力のない言葉が返ってきた。
無理もない、アグモンとピヨモン、そしてゴマモンにとっては今日2度目の進化だ。
「……そういえば、クワガーモンとモノクロモンは?」
テントモンに駆け寄っていた光子郎がふと呟く。
空を見上げても、道の向こうを見つめても、2匹の陰は何処にもなかった。
クワガーモンはともか
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