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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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少しでも触れたら、身体中が緊張して硬直して、がたがたに震えて冷や汗が止まらなくなる。
目の前の景色がぼやけて、焦点が合わなくなる。
自分から触る分には、問題ないのだ。
接近戦をメインとする戦い方をするからなのか、拳や蹴りをぶつけるのは、大丈夫なのだ。
手を伸ばして相手に触るのは、平気なのだ。
その手を握り返されると、もうダメだった。
身体が拒否反応を起こして、弾いてしまう。
まだチビモンだった頃、感情のコントロールが上手くできなかったときは、触れられるたびに泣いて、アグモン達を困らせていた。
パタモンとプロットモンだけは、触れられても何ともなくて、みんなで首を傾げたことも覚えている。


──そんな自分が、ダイスケをちゃんと守れるのだろうか?


「ブイモン?」

大好きなパートナーの声に呼びかけられて、思考の海に沈みかけたブイモンの意識が引っ張られた。

『な、何?』
「何って……どうしたんだよ?大丈夫か?」

大輔の空いている手が、ブイモンの頬に触れる。
パタモンとプロットモン以外のデジモンに触れられると、怖くて仕方がないのに、大輔はパートナーだからなのか、触れられても全然へっちゃらだった。
程よくあったかくて、手はブイモンよりも小さいはずなのに何故か包み込まれているような感じがして。
心配してくれているのが嬉しくて、ブイモンは泣きそうになるのを我慢して、何でもないって笑った。


──今は、考えないでおこう。


自分の弱点をさらけ出しても、大輔は受け止めてくれたのだ。
認めてくれたのだ。ブイモンはブイモンだって。
うじうじと考えるのは性に合わない。
震えも止まってきたし、ブイモンは大輔にもう大丈夫だからと言って、手を離してもらった。
そして、丈に謝りたいと言った。

『ジョウも、悪気がなかったのは分かってるんだ。ただひっくり返りそうになった俺を助けようとしてくれてただけなのも、分かってる。でも、ダメなんだ、俺。どうしてか分かんないけど、本当にダメなんだ。誰かに触られるの』
「分かってるよ、ブイモン。丈さんの手を叩いちゃったのも、わざとじゃないんでしょ?丈さん、怒ってなかったよ。だから大丈夫だよ」
『……うん。分かってる。でも、だからって、それに甘えるのは、何か違う気がするんだ。ちゃんと謝りたい』
「……ブイモンがそこまで言うんなら、それでいいんじゃないか?多分丈さんは許してくれると思うけど」
「でも“ケジメ”は大事だよね。いいと思うよ」
『じゃあ、みんなで一緒に謝りましょう』
『さんせー!』

悪いことをしたと思ったのなら、謝らなければ。
許す許さないを決めるのは丈だが、でもきっと丈は許してくれるって、みんな確信していた。
ブイモンは、何も悪いことをして
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