ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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いと拒否することもできなかった大輔達は、ブイモン達から離れまいと思って手を離さなかったようだ。
何だ、ってちょっとだけ、ブイモンはがっかりする。
誰かに触れられることを怖がるブイモンが、丈に触れられてしまったことでパニックに陥ってしまったから、落ち着かせてくれようと思って手を繋いでくれたわけじゃないのか、って。
でも同時に、嬉しさもあった。
異変を感じた時に、太一達ではなく自分達を頼ってくれたのだ。
まだ進化を果たしていないせいで、必然的に太一達やアグモン達が前に出て大輔達を守る形になっていたのだが、ブイモン達はそれが悔しくてしょうがなかった。
早く進化できるようになって、大輔達にすごいなって褒めてもらいたいし、大輔達を守るのは自分達でいたい。
それは、パートナーデジモンとして、当然の感情である。
大輔達だけが感じた異変を、太一達には絶対言うなって、内緒だぞって言われた時だって、太一達よりも自分達が信頼されているのだと、ブイモン達が舞い上がるのも無理はなかった。
それにしても、である。
『……ダイスケ達だけが感じた視線って、何なんだろうな?』
『困ったねぇ。もしもこの先同じようなことがあったら、僕達で何とかできるかな……?』
『何弱気になってるのよ、パタモンたら!何とかするのよ、アタシ達だけなんだからね、ヒカリ達がこうして話してくれたのは』
項垂れるパタモンに、はっぱをかけたのはプロットモンであった。
自分が弱いことを自覚しているパタモンは、まだ進化が出来ないしどんなデジモンに進化するのかも分からない。
賢を守り切れるだろうか、と弱気になってしまうのは当然だった。
だがプロットモンがそれを一蹴する。
自信ありげに胸を張って、ヒカリを守るのは自分であると豪語する。
すごいなぁと呆気にとられつつも、プロットモンの言う通りだなぁと思ったパタモンは、俯くのをやめた。
他のデジモン達と一緒だ、自分は賢を守るためにここにいるのだ。
弱気になっている場合ではない。
『そうだよね!ボク、がんばるからね、ケン!』
「?うん!」
何かよく分かんないけど、パタモンが元気になったからいいや、って賢は微笑んだ。
『………………』
そんな友達2体を、ブイモンは複雑そうな目で見つめている。
大輔が握ってくれている、ブイモンの手に力が入る。
パタモンもプロットモンも、賢とヒカリを守るために頑張ろうとしている。
自分は?自問自答する。
自分もみんなと同じように、大輔を待っていた。
大輔を守るのは自分だと、パタモンやプロットモンのように言いたいのに、喉の奥に張り付いて言葉が出てこない。
だって、パートナーデジモンでありながら、大輔を守る立場でありながら、致命的な弱点があるのだ。
誰かに触れられるのが怖い
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