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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
つかの間の休息
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ン、ヒカリとプロットモン、それから大輔から顔を逸らして部屋を見渡していたブイモンは気づかない。
ゆっくりと息を吐きながら、沸き上がりかけた怒りを追い出し、特に何もないから次の部屋に行こうと促す。
次の部屋も、似たようなものだった。
その次の部屋も特に異変は見られなかったので、強張っていた賢とヒカリの身体と顔が少しずつほぐれていき、大輔とブイモンから離れて散策し始める。

『……なあ、ダイスケ』

ここは安全だろう、と上級生が判断したことで、最年少の3人も散策が許可された。
6人いる上級生はみんな、1階を散策していてここにはいない。
だから、ブイモンは思い切って聞いてみることにした。

「何だよ」

次の部屋へ向かう途中の大輔は、前から目を離さない。

『……さっき、この館を見上げた時、何であんなこと聞いたんだ?』

ぴたり、とその足が止まる。
エントランスを見下ろせる廊下は、蝋燭の明かりが一定の間隔で灯っており、柔らかいオレンジ色を放っていた。
ブイモンの手を握る、大輔の小さな手に力が籠る。

『ダイスケ?』
「……あのさ、絶対誰にも言わないって、約束してくれるか?」

そう言って大輔はブイモンの目を真っすぐ見つめる。
何か覚悟を決めたような、そんな目をしていた。
一瞬だけ身じろぎをしたブイモンだったが、きっととっても大事なお話をするのだろうと悟り、ぎこちないながらも頷く。
階段の方を見て、上級生が上がってこないのを確認すると、ブイモンを引っ張って廊下の壁際に寄る。
賢とパタモン、それからヒカリとプロットモンが、大輔とブイモンを間に挟む形で設置されている扉から、ちょうど出てきた。

「絶対誰にも言うなよ。太一さん達にも、アグモン達にもだぞ?約束な?……このお家見た時、変だなって思ったんだ」
『変?』
「ああ……なんか、こう、合ってないって思った」

合わない?
ブイモンは首を傾げる。
大輔が何を言いたいのか、さっぱり要領を得ないのだが、大輔も何と言ったものか考えあぐねているようで、うんうん唸りながら頭を抱えている。
分かる、と賢が乱入してきたのは、その時だった。

「僕も変だなって思ったんだ、このお家。ムゲンマウンテンで岩が崩れた時、あったじゃない?あの時に感じたのと、おんなじ感じがした」
「私も……」

ヒカリもおずおずと言った様子で参戦する。
いつの間にかヒカリの腕から降ろされていたプロットモンが、ヒカリを見上げながら変な感じって何と尋ねた。

『何を感じたの?アタシは何も感じなかったけど……』
「……何だろう、見られてるなって思ったの。こう……とっても怖い目で、まるで私達が……憎くてたまらない、みたいな感じがして……」

その時のことを思い出したのか、ヒカリ
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