第1部
アッサラーム〜イシス
不思議な歌
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さんと同じく魔王を倒そうとした人!」
「英雄って、オルテガさん以外にもいたんだ!?」
私は思わず声を上げる。てっきり英雄と呼ばれていたのは、オルテガさんだけかと思っていた。
でも今の話を聞く限り、ユウリはサイモンさんのことをよく知らないようだ。オルテガさんはサイモンさんと一緒に魔王を倒しに行こうとした訳じゃなかったのかな。
「おれが知ってる情報はこれだけです。すみません、あまりお役に立てなくて」
「いや、十分すぎるくらい貴重な情報だった。助かる」
どうやらルカが持ってきた情報は、ユウリにとって有益なものだったらしい。勇者に感謝されたルカは、安堵の息を吐いた。
「こちらこそありがとうございます。ユウリさんたちのおかげで、おれの仕事も達成したし、何より貴重な経験を積ませてもらいました。これから師匠のところに報告しなくてはならないので、皆さんとはここでお別れですが、またなにかありましたら、ぜひ協力させてください」
そう言って、深々とお辞儀する姿は、もうすでにいっぱしの商人に見える。
「オレらの方こそ、短い間だったけど一緒に旅できて楽しかったぜ。なんか弟ができたみたいで」
「実際弟なんだけどね。こっちとしてはちょっと寂しかったけど」
だって旅の間、私よりもナギといる方が多かったもん。ルカも初めてお兄ちゃんのような存在のナギと接して、なにか変わったのかもしれない。
「あたしも寂しいよ〜! だってるーくんすっごい可愛いもん☆ 離れたくないよ〜!」
「うわっ! ちょっ、待ってください」
いきなりルカに抱きつくシーラ。彼女も名残惜しそうだった。ルカも恥ずかしさで抵抗はしているようだが、意外にまんざらでもないみたいだ。
「もう、ルカったら、鼻の下延びてるし。この前も言ったけど、たまにはちゃんと家に帰るんだよ?」
「わっ、わかってるよ」
「ならいいんだけど……。はい、これ」
私はルカにあるものを渡した。
「これって……」
それは、女王様に会う前に彼が私にくれたキメラの翼だった。
「気持ちだけ受け取っておくから、それ使って、一度くらいはお母さんたちに顔を見せてあげてね」
「アネキ……ごめん。ありがとう」
照れ臭いのか、下を俯いたままのルカ。けど、ちゃんとお礼が言える辺り、昔より大分素直になった気がする。すると、横から顔を出したユウリも、キメラの翼をルカに渡したではないか。
「おい、間抜け女。それ渡すなら、もうひとつ必要だろ」
「あっ、そっか」
実家からアッサラームに戻るときも翼は確かに必要だ。けれど、えげつない値切り交渉をするあのユウリがアイテムを他人にあげるなんて、信じられない光景だった。
一方ルカは、勇者から
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