第1部
アッサラーム〜イシス
不思議な歌
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すっかり和んでしまった私とシーラに対し、待ちきれないのかずっとその場をうろうろしているナギ。すると、ずっと動いているナギの足に、数匹の子猫がじゃれついてきた。
「わっ、何すんだよ、お前ら! 踏んじまうだろ!」
ナギの警告などお構いなしに、どんどん増える猫たち。猫好きにしてみれば羨ましいことこの上ないのだが、本人は嫌なのかうっとうしそうだ。
「ナギって、ひょっとして猫嫌いなの?」
「別に嫌いとかじゃねーよ。ただ、足元にこんだけ猫がいたら踏んじまうじゃねーか」
「いや、気を付ければよくない?」
なんてやり取りをしているうちに、猫と遊ぶのは飽きたのか、女の子たちは別の場所で歌を歌い始めた。なんとなく聞き流していたが、歌詞の内容が印象的で、いつの間にか頭の中で何度も反芻していた。
―まんまるボタンはお日さまボタン。小さなボタンで扉が開く。東の西から西の東へ。西の西から東の東。
なんだろう。なぜかわからないが、違和感を感じるのだ。
それが何かを考えようとするのだが、あまりにも脈略が無さすぎて、ぴんとこない。
「ねえ、その歌って、何の歌? この町で流行ってるの?」
どうしても気になった私は、女の子たちに歌のことを尋ねた。女の子たちはお互い顔を見合わせると、揃って首を傾げる。
「うーん、わかんない」
「わたしがねるとき、おかあさんがよくうたってくれたよ」
子守唄みたいなものかな? 意味はないけど語呂がいいので、子供を寝かしつけるにはぴったりなのかもしれない。
なんて考えているうちに、玉座の間とは別の通路から、ユウリが戻ってきた。なんとなく疲れた顔をしているのは気のせいだろうか?
「ったく、何寄り道してんだよ。待ちくたびれたぜ」
ナギが声をかけるが、ユウリは私たちを一瞥しただけ。
何かあったのかと尋ねたかったが、またアッサラームのときみたいに怒鳴り返されるかもしれないので、あえて聞かないことにした。
「おい、何も聞かないのか?」
「へ?」
無言でいると、ユウリが思いがけない発言をしてきたので、私は思わず素っ頓狂な声を上げた。
「えーと、別に……。だってユウリ、こういうの聞かれるの嫌なんでしょ?」
「だとしても、パーティーの一員として、一応聞くものだろ」
なんて理不尽なんだ。私は思わず顔をしかめつつも、仕方なくユウリの要望を受け入れた。
「えー? じゃあ、女王様と何話してたの? なんで別の場所からやってきたの?」
「ふん。お前ごときに教えられるわけないだろ」
うああああああ!! 結局言わないんじゃない!! 腹立つ!!
私が頭をかきむしりながら地団駄を踏んでいると、呆れ
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