暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
この手で掴む“いつか”(マリア・カデンツァヴナ・イヴ誕生祭2020)
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『マリィ、セレナ、もしもここを出られたら何処に行きたい?』

昔、そんな会話をした事を思い出したのは、テレビで遊園地のCMをやっているのを見たからだろうか?

あの頃の俺達は、施設の外に出る事なんて出来なくて、外の空気を吸う機会なんて訓練中のわずかな時間だけ。
白い孤児院で育った俺達にとって、壁に囲まれて見上げる青だけが唯一の空だった。

フロンティア事変を経て、自由を手に入れた俺たち。
マムとの別れは悲しかったが、代わりにセレナが目を覚まし、今の俺たちは日本に身を置いている。最近じゃ、ちょっとした日本食も作れるようになったんだぜ?

そして月日は巡り、空の色が青だけじゃない事を思い出せた頃に、その日が近付いていた。



「ツェルト、何処に向かってるの?」
「マリィとセレナが行きたがってた場所だ」
「わたしとマリア姉さんが、ですか?」

ツェルトが運転するレンタカーが、国道沿いに進んでいく。
目的地を知らされないまま乗ったマリア、セレナの二人は首を傾げながらも、流れていく窓からの景色を眺めていた。

早朝、ツェルトに起こされた二人は、寝ぼけ眼で着替えて車に乗せられた。
途中、コンビニでおにぎりと飲み物を購入すると、車の中で朝食を済ませて目を覚ます。

こんな時間からどこへ向かうのだろう?
姉妹の疑問が解けたのは、目的地が近付いてきてからだった。

「さあ、もうすぐ着くぞ」
「ツェルト……あれって……ッ!?」
「遊園地……ですよね?」

そう。ツェルトが向かっていたのは、子供なら誰もが憧れる夢の場所……遊園地であった。

「この前、テレビ見てたら昔を思い出してさ……。孤児院を出たら行きたいって、二人とも言ってただろ?」
「まさか……覚えてたのッ!?」

驚くマリアに、ツェルトはニッと歯を見せて笑った。

「黙っててごめんな。サプライズしたくてさ、ちゃんと予定も組んであるんだ」
「ツェルト義兄さん……わたし達の為に……?」
「当たり前だろ? 司令にも、今日はマリィに仕事が入らないよう頼んだし、セレナにも任務が入らないようにしてもらった。有給だと思って、今日は一日中楽しもう」
「ツェルト……」

車を停めた瞬間、後部座席からツェルトの首元にセレナの手が伸びた。

「ツェルト義兄さん、大好きですッ!」
「そんな昔の約束の為にって……あなたのそういう律儀なところ、変わらないわね」
「大切な二人との約束なんだ。なら、俺は必ず果たすよ」
「もう……」

マリアが頬を赤らめ、二人はクスっと笑った。

「さあ、わざわざ朝早くから来たんだ。アトラクション、回れるだけ回っていくぞ!」
「はいッ!」
「ええ、とことん遊びつくしましょうッ!」

ff

それから三人は
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