第8章:拓かれる可能性
第256話「攻略作戦」
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。
そして、優奈がその“前例”として帝を示す。
「帝は、力を……それどころか、“姿”やエアを奪われた状態で、“意志”のみで神界の神達を圧倒した。……今の帝は本来なら一般的な魔導師程の強さしかない。それでも、“意志”だけで圧倒出来るんだ」
「だからと言って、同じ事が出来るとは……」
「限らないな。でも、“意志”で戦力差を覆せるのは分かっただろう?……後は、実際に戦う本人次第だ」
それはつまり、裏を返せば優輝は信じているのだ。
皆が、勝ちを掴む事を。
「……どうやら、態々言わなくても良かったみたいね」
そして、その意図が分かったのか、全員の決意は固まっていた。
優奈もそれを見て、優輝に笑みを向ける。
「―――よし、なら、攻略の軽い流れを説明する」
優輝も満足そうに笑みを浮かべ、ようやく本題に入った。
「まず、初手からイリスの……いや、攻めてくる敵の想定を上回る」
「攻めてくる……という事は、受け身なのね」
「ああ。敵を迎え撃つのに、僕らが育ってきたこの世界以外に最適な場所はない。人の“領域”だからこそ、敵は本領を発揮できないのだからな」
むしろ、準備をしている相手に攻め込む方が愚策だと、優輝は言う。
「だけど、相手もそれを想定した戦力を投下してくる。……だから、こちらはさらにそれを上回る戦力が必要だ」
「そのために、私達が……」
「いや、ここで出番が来るのは皆じゃない」
先程言った“意志”でそれを撃退するのかと思ったが、優輝が否定する。
否定した優輝は、そのまま祈梨へと一度視線を向けた。
「皆も見ただろう?もう一人のイリスが何かしていたのを」
「そういえば……」
消滅する前、イリスは世界中に光を放っていた。
今まで説明に出てこなかったため、半分程の者は失念していたようだ。
「もう一人のイリス……これについて説明していなかったな。彼女は、かつての戦いで封印される時、砕けた“領域”の欠片が僕らと同じように人に転生した結果、生まれた存在だ」
「お兄ちゃんと、同じように……」
明らかに雰囲気が違っていた。
それは人として生きた経験が変えたからなのだろうと、見た者は思う。
「転生したイリスは、人の可能性を見てきた。……その結果、“闇の性質”であってもそれ以外のモノを示せると理解出来たんだろうな。……最期に、希望を残していった」
そう言って優輝は掌の上に金色の炎のようなものを灯した。
「これはその一端だ。僕の中に残っていた、イリスの示した希望の光だ。……これが、今はこの世界に散らばっている」
「……それを利用するの?」
「ああ」
緋雪の言葉に優輝は頷く。
そして、
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