第8章:拓かれる可能性
第256話「攻略作戦」
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その根幹は神界の神のままだ。形は変わらないままなんだ」
図に変化を加えつつ、優輝は解説を続ける。
「だけど、人……厳密には、神界以外の存在は違う。その環境によって性格が変わるように、千差万別、変幻自在なんだ。本人に自覚はなくてもな」
人の“領域”をスライムのように不定形な図形として描く。
「帝の場合、憧れた力を再現する事で、相手を乗り越える“領域”へと変質させた。結果、実際の戦闘ではゴリ押しだろうと敵を倒せたんだ」
「……なるほど……」
「当然、限定的な変化だ。帝が力を再現しているその間しか変質していない。今はいつもの、普通の人としての“領域”に戻っている」
“性質”を上手く使えば、大抵の相手に対して有利を取れる。
帝は意図せずにそれを成し遂げていたのだ。
「相手に対して有利な“領域”へと変える。……言葉にすれば難しく聞こえるが、要は挫けず、諦めず、相手を乗り越えればいい。一縷の可能性に賭けて、それを掴み取ればいい。全ては、それぞれが持つ“意志”で決まる」
「……そこに帰結するのね」
洗脳されていた祈梨が言っていた“意志”の力。
本来の法則はぼかされていたが、結局間違ってはいなかったのだ。
「神界の存在は、良くも悪くも規格外だからな。決まった“性質”に沿うような強さや力を持っているが……それが殻を破る事はない。対し、人はその真逆を行く。総合的に見れば神界に劣るのは確実だ。……だけど、“意志”一つでそれを覆すのも、また人なんだ」
「……相変わらず、無茶を言ってくれるわね」
一通り聞いて椿が嘆息する。
神としての視点も持つ椿からすれば、優輝の言わんとしている事は理解出来た。
だからこそ、“無茶”だと言わざるを得なかった。
「相手は絶対的に格上。それでも勝て……そう言いたいのね?力でも“領域”でも劣っていたとしても、“勝つ”という執念のみで勝って見せろと……」
「ああ」
「いくら何でも無茶振りが……あぁ、そう。そういう事なのね……」
言葉の途中で、椿は納得したかのように言葉を止める。
「かやちゃん?」
「……貴方もまた、“性質”に沿っている訳ね。人の“可能性”を信じて、きっと成し遂げてくれると、そう信じているのね」
「そうだ。僕もまた、“性質”からは逃れられない。だから、人の“可能性”を信じて、託す事にしたんだ。……それが、最善だと思ってな」
“性質”に沿うと言っても、応用が出来ない訳ではない。
優輝は“可能性”を全員に託し、それを拓く事で突破口にするつもりなのだ。
「それは最早、勝算なんて……!」
「ない訳じゃないわ。……最高の前例がここにいるのだから」
誰かの言葉を、優奈が否定する
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