【 起 】
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まで『彼』の腕でぐったりしていた『猫のような生き物』が身を起こしていた。
「名前は・・・思い出せない。」
「猫がしゃべった!」
ゆかり が驚きの声を上げる。
「猫じゃねーよ!。猫がしゃべるわけねーだろ。」
『猫もどき』は怒ったように返した。
「それじゃあ、なんなんだお前は。」真田が続けて詰問する。
「人間・・・のはずだ。・・・なんかおかしなことに巻き込まれて、こんな姿になっちまったんだ・・・と思う。」
一同は顔を見合わせた。
「どうも昔の事については記憶がはっきりしないんだ。しかし、ここが現実ではなくて異世界だってことはわかる。」
『猫もどき』・・・はそう言うと、『彼』の腕から飛び降りて、すくっと地面に立った。
「異世界か。・・・とんでもない話だが、こんな島の存在すること自体が不自然だからな。一概に否定もできん。タルタロスとも違うようだしな。」と美鶴が言った。
それを聞いて、『猫もどき』が訊き返してくる。
「そのタルタロスってのはなんなんだ?」
「影時間にだけ現れる迷宮の塔だ。」真田が答えた。
「・・・意味が解らない。影時間ってなんだ?」
『猫もどき』は興味津々な様子で、重ねて尋ねてきた。
「夜0時から1時間ほど、普通の人間には感知できずに存在する隠された時間だ。我々は影時間と呼んでいる。」
「なんだそれは! ワガハイは、そんなの知らないぞ。」
「じゃあ、ここがどういう場所なのかは知っているのか?」
真田はいらついたように質問を切り返した。
『猫もどき』の疑問もわかるが、自分たちにとって、今は現状の把握が最優先なのだ。
そもそもこの『猫もどき』が信用できる存在なのかもまだわからない。
そんな真田の心中を気にかける様子も無く、『猫もどき』が自信たっぷりに言った。
「ここは言わば人間の頭の中だ。人の心の歪みが生み出したもうひとつの現実。異世界というわけだ。」
『猫もどき』の言葉に、一瞬沈黙が訪れ、皆が顔を見合わせる。
「・・・そっちこそ意味が解らない。」
真田があきれたように言う。
あまりの話のかみ合わなさに、しばし沈黙が訪れる。
「とりあえずお互いの情報交換が必要なようだな。」
気を取り直したように『猫もどき』が提案した。
「猫の言うとおりだ。」真田も同意する。
「だから猫じゃねえって・・。」
「じゃあ、何と呼べと? 名前を思い出せないんだろ。」
「なんか適当につけてくれ。」『猫もどき』がぶっきらぼうに言う。
「なら猫でいいだろう。」真田がぶっきらぼうに返す。
「猫じゃねー!!」『猫もどき』がまた声を張り上げた。
「まあまあ、真田さん。」
にらみ合う二人を取りなすように、ゆかり が口をはさんだ。
「えーと・・・それじゃあ、さっきのファタモンガー・・・なんでしたっけ?」
「ファタ・モ
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