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ペルソナ3 ファタ・モルガーナの島(改定版)
【 起 】
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ゆかり が言う。
「まあ、この場所が現実だとしたらの話だが・・・。」真田がそう言い添えた。
「ともかく現在地を確認しよう。ムーンライトブリッジが見える位置なら、すぐに場所が特定できるはずだ。」
美鶴の言葉に皆がうなずき、海とは逆方向に歩き出した。
緩やかな傾斜を登っていく。そちらの方向は真っ暗だ。不思議なほど人家も街の明かりも全く無い。この大都会に、こんな何もない場所があるということが信じられなかった。
歩いているうちに、汗が噴き出てきた。気が付けば、この季節にしては異常な暖かさだ。半袖でもいいくらいだ。
この違和感は何なのか。つい先ほど、このタルタロスに来るときには、冬を間近に控えた冷たい夜風に身を震わせたはずではなかったか?
非現実感は増すばかりだった。
しばらく上ってから『彼』が振り向き、そして「ここ、島なんじゃないですか?」と言った。
見回せば、確かに今いる場所を海がぐるっと取り巻いているようだ。
「でもこんなところに島なんか・・・いや、うちらの学校が人工島にあるのは知ってるけど、・・・でもこんな無人島じゃないし・・・。」
その ゆかり の言葉にかぶせて『彼』が言う。
「・・・と言うより、さっきから気になってたんだけど、あのムーンライトブリッジの見え方は、月光館学園の屋上からの見るのと同じじゃないかな。」
あらためて見ると、確かにその通りだった。
「つまりここは月光館学園のあるはずの場所ということか。やはり我々はタルタロスがあるはずの場所にいるわけだな。」
美鶴が確認するように言うと、真田がうなずいた。
「現実にこんな場所が存在するはがない。俺たちは今なお非現実な場所にいる。」
「今いるこの島は、本物ではない『幻の島』ってことですか。」
ゆかりが不安そうに声を上げる。
それを聞いて美鶴がつぶやいた。
「幻の島か・・・まるでファタ・モルガーナだな。」
「ファタ? なんです?」ゆかり が聞き返す。
「ああ、ヨーロッパでは蜃気楼のことをファタ・モルガーナと言うんだ。
かつて北極海にあると噂され、目撃例が多数あったにもかかわらず、度重なる探索でついに発見することのできなかった島があってな。その幻の島は、ファタ・モルガーナ・ラネズと呼ばれたんだ。」
「どうやったら戻れるんでしょうね。すぐそこに街が見えてるってのに・・・。」
ゆかり が街の明かりを見つめながら言った。。
「山岸との通信は途絶えたままだ。それでも、影時間が終わっていれば携帯電話が通じるはずだ。だが、ここが依然としてタルタロスの中だというなら・・・。」
「電話なんか使えねーよ。」
美鶴の言葉を遮って、ふいに聞きなれない高い声がした。
全員がびくっとして身構える。
「誰だ。」真田が鋭く問いただした。
「ワガハイだ・・・。」
見れば、先ほど
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