ちいさなしまのおはなし
生真面目くんの憂鬱
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ているだけだったのに、今日のミミは積極的に動くだけでなく、5年生達の話し合いにも参加している。
一体どういった心境の変化だろうか。まあ人数は大いに越したことはないし、様々な意見があるのはいいことだ。
さて、と気を取り直し、空と治はミミの味方についた。
慎重派の2人らしい、と理解はするものの納得はできない。
ムゲンマウンテンには狂暴なデジモンが住んでいるから、3人が慎重になって反対するのは分かるのだが、だからと言ってここにいつまでもグズグズと留まってはいられない。
ムゲンマウンテンがダメなら、雪原を突っ切ることになるが、きっと3人はそれも反対するだろう。
どっちもダメならどちらかしかない。
そして、上記の治のセリフである。
まだ丈だけが意見を提示していなかった。
下級生達全員から注目を浴びることになった丈は、最大のピンチを迎えている。
どうしよう、と冷や汗が流れるのが分かった。
2つ以上の解答がある問題を考えるのが、丈は苦手なのだ。
メリットとデメリットが同じ数だけある2つ以上の正解の道を選ぶのに、人の倍以上時間をかけて考えないと丈は決められないのである。
そして、散々悩んで選んで、やっぱりあっちにすればよかったって後悔するのも多々あった。
だが上級生として、最年長として、何も言わないわけにはいかない。
まずはメンバーの整理をしよう。
デジモンを進化がさせられるのは自分と最年少3人以外の、5人。
進化できない数よりもできる数の方が多いから、それはカバーできるだろう。
最年長の自分ができないというのはかなり情けない話ではあるが。
問題は最年少3人である。どちらに進むにせよ、まだ小さく進化させてやることができない彼らを危険な目に合わせるわけにはいかないのだ。
それは太一と治もよく分かっているはずだ。
それなのに、太一は敢えて山に登るという選択肢を選んだ。
何か考えがあってのことなのだろうが、それはひとまず置いておくことにして。
太一と光子郎は、全体を把握したいから危険を承知でムゲンマウンテンを登りたい。
治と空とミミは、最年少のことを考慮して気性の荒いデジモンが住むムゲンマウンテンには登りたくない。
両方の言い分は、どちらも正しい。
島の全体図が分からないから、危険を承知でムゲンマウンテンの頂上に登る。
狂暴なデジモンが住んでいるから、リスクは避けるべき。
さて、どちらを取るべきなのか。
賛成派と反対派の目が厳しい。
どちらも、自分達の方を選べというプレッシャーをかけてきている。
勘弁してくれ、と丈は心の中で嘆いた。
「丈?」
「丈先輩?」
太一と治が黙り込んだ丈を、キョトンとしながら見つめてきている。
いけない、と丈は頭を無理やり切り替えた。
しかし考えれば考
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