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ナイン・レコード
ちいさなしまのおはなし
おもちゃの町
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赤く塗られた宝箱が、ガタガタと動いていた。
大きな錠前がついている。
他の家を覗き込んでいたミミ達を呼んで、一向はその宝箱があるお家に入った。
出して〜っていう情けない声は、聞き覚えがある。

「みんな?そこにいるの?」
『アグモン?ガブモンや、他のみんなもいる?』
『あ、ミミ!パルモン!』
『無事だったのね!?』

よかった、と安堵しているミミを押しのけるように、ヒカリと賢が箱に手をついて、中にいるらしいアグモン達に問いかけた。

「ねえ、アグモン!お兄ちゃん、どうなっちゃったの!?」
「ガブモン!何か知ってる!?お兄ちゃんが、お兄ちゃんが!」
『ああ、ヒカリ!ヒカリも無事だったんだね!?』
『ケン!よかった……』
『ダイスケは?ブイモンはいるの?』
「おう、いるよ!」
『それより、教えてくれよ!何があったんだ!?』

ミミと最年少3人、そのパートナー達の無事を喜んだアグモン達は、もんざえモンに捕まったのだと教えてくれた。
みんなでバラバラに逃げている途中、突如現れたもんざえモンに驚いてヌメモンが逃げたまでは、ミミとパルモンと一緒だ。
しかし他の子ども達は、もんざえモンの必殺技であるラブリーアタックという青いハートに捕まったらしい。
もんざえモンのラブリーアタックは、本来なら包んだ相手を幸せな気分にさせ、相手から戦意を奪う技だ。
だが青いハートのラブリーアタックは、どういうわけか全身から力が抜けて、何もかもがどうでもよくなっていくような、アグモン達が知っているものとは全く別のものだったそうだ。
やる気や気力が根こそぎ奪われて、意識さえも遠ざかっていく中、もんざえモンが言い放った言葉をデジモン達は聞き逃さなかった。
子ども達から感情を抜き取り、おもちゃのおもちゃになってもらう。
そしてデジモン達はおもちゃ箱に“お片付け”されてしまったのだと。

「おもちゃのおもちゃ?」
「どういうこと?」

おもちゃは子どもが遊ぶから“おもちゃ”になる。
おもちゃの“おもちゃ”ということは……おもちゃに“遊ばれている”ということだ。

「何だよ、それ!太一さん達はおもちゃじゃねーぞ!」
『何とかして元に戻してやらないと……!』
「もんざえモンのせいでお兄ちゃん達がああなったんなら、もんざえモンを何とかすれば元に戻るんじゃないかな?」
「ど、どうやって?プロットモン達、まだ進化できないよ?」
『相手は完全体……グレイモンやガルルモンよりも上だわ。進化できたとしても、勝てるかどうか……』

プロットモンが悔しそうに、しかし事実を述べる。
前回カブテリモンがアンドロモンに勝てたのは、まさしく運が良かったからだ。
光子郎が冷静にアンドロモンを観察してくれたお陰で、カブテリモンに指示を出せたからだ。
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