ちいさなしまのおはなし
おもちゃの町
[7/16]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いった方から治が汽車のおもちゃに追いかけられていた。
待ってーって涙目になりながら兄を追いかける賢だったが、治は賢に気づいていないのかそのまま何処かへ走って行ってしまった。
太一、空、光子郎、そして治。
みんなみんなおかしくなっている。
ということは、残る1人は……。
「……丈先輩」
たった今ミミの脳内に浮かび上がった人が、ミミの目の前を通り過ぎていく。
大きな鳥の頭が、一定間隔で地面をつついて丈を追い立てる様は、まるで地面を這いつくばるミミズを啄もうとしている鳥のようだった。
水飲み鳥、英語でドリンキングバードと言う。
鳥が水場から水を飲む動きを模倣した、熱力学で作動する熱機関のおもちゃなのだが、ミミとパルモンはそんなこと知る由もなかった。
『何あれ、みんなどうしちゃったんだ……?』
『ぜんっぜんちっとも楽しそうじゃないのに、何で楽しいとか嬉しいとか言ってんの?』
『まるで感情がなくなっちゃったみたいね……』
目の前にいたはずのミミ達を素通りして、おもちゃに追いかけられていた太一達に、呆気にとられながらブイモン達は顔を見合わせる。
うーん、ってブイモン達の会話を聞いていたパルモンは、首を傾げた。
『……アグモン達がいないわね。どこに行っちゃったのかしら……?』
「アグモン……そうよ、まずはアグモン達を探しましょう!きっと事情を知ってるはずよ!」
だから落ち込まないで、とミミはしょんぼりしている最年少に声をかけ、アグモン達を探そうと提案した。
ずーっと子ども達のそばにいて離れなかったデジモン達がいないなんて、何かあったに違いない、ということはミミでも分かった。
幸いメンバーは全員揃っているから、アグモン達も何処かに必ずいるはずである。
事情を聞き出したら、何とかみんなを元に戻して、それからもんざえモンをどうにかしよう。
ミミの行動は早かった。
「本当はみんなで手分けして探したほうが早いんだろうけど、ここってもんざえモンの町なんでしょう?だから効率悪いけど、みんなで固まって探しましょ」
はーい、って不安そうな色を隠さない最年少は、しかしミミが今ここにいるメンバーで1番年上ということもあり、素直にお返事をしてミミの後をついていく。
太一達と同じようになっているのか、それとも何処か別の場所にいるのか、それすらも分からないからみんな慎重になっていた。
大きな通りはもちろん、小さな裏通りや脇道、お家の中も徹底的に。
その甲斐あってか、幸運なことにミミ達はアグモン達の居場所をすぐに突き止めることができた。
あるお家の、窓の中。
ガン、ガン、と何かを叩きつけるような音。
何だろう、ってじっとしているのが苦手な大輔が、第一発見者だ。
窓を覗き込むと、漫画やアニメに出てきそうな金の縁と
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ